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<都市対抗野球>豪雨被災地・広島2チームが喪章で開会式

7/13(金) 22:09配信

毎日新聞

 東京ドームで13日に開幕した第89回都市対抗野球大会に、西日本豪雨で最も大きな被害を受けた広島県から2チームが出場している。東広島市・伯和ビクトリーズと広島市・JR西日本。両チームは話し合い、肩に喪章を付けて開会式に臨んだ。「野球をしていていいのだろうか」と葛藤を抱えながらも「地元に少しでも明るい話題を」と活躍を誓う。

 県内で雨が激しくなった6日夜。伯和ビクトリーズは大会に備えて東広島市の寮で合宿中だった。東賢孝(あずまやすたか)監督(46)は「たたきつける雨の音と鳴り続ける携帯電話のエリアメールに恐怖を感じ、眠れなかった」。投手の佐原圭亮(26)は仕事を終えて広島市の自宅に車で戻る途中の妻と携帯電話でやりとりした。運転しながらスピーカーで話していた妻が突然取り乱した。「先の道路が崩れた!」。脇を流れる川の濁流にえぐられた。「少し間違っていたら……」。恐ろしくなった。

 翌朝、寮の周囲は一変していた。目の前の国道は浸水して土砂や流木が流れ込み、動けなくなった車が連なっていた。「監督さん、手伝いに行っていいですか」。主将の国島一平(27)が切り出し、選手とスタッフが総出で復旧を手伝った。グラウンド整備用のトンボやスコップで腰まで積もった泥をかき、みんなで車を道路脇まで押した。「目の前で起きていることをなんとかしようと必死だった」と国島は打ち明ける。

 出場は5年ぶり。喪章を付けて行進した東監督は「自分たちはたまたま被害に遭わずこの舞台に立てた。大変な時だからこそ最後まであきらめない姿を見せ、少しでも希望を与えられれば」と言う。

 JR西日本のスタッフも被災した。水口義友コーチ(39)は広島市にある自宅そばの道路が崩落し、妻と公民館で一夜を過ごした。断水が続き、妻は熊野町の実家に避難したが、その庭にも土砂が流れ込んだ。自宅アパートが浸水し、妊娠中の妻を島根の実家に帰したトレーナーもいる。

 3年連続出場のチームの応援に例年、多くの社員や関係者が駆け付けるが、今年は多くが地元で復旧作業に当たる。主将の林誉之(たかゆき)(27)は「線路を流されるなど会社も大きな被害を受けた。でも会社からは『野球をしていいのかと思わず、精いっぱいやってきて』と送り出された。いい報告をしたい」。花本輝雄監督(53)も選手に「明るい話題を届けよう」と呼びかけた。

 JR西日本は14日、伯和ビクトリーズは16日に初戦を迎える。【石川裕士、前本麻有】

最終更新:7/13(金) 23:50
毎日新聞