4月からスタートしたNHK総合「チコちゃんに叱られる!」(金曜・後7時57分、再放送は土曜・前8時15分)で極めて珍しい現象が続いている。
【写真】自身の子供もチコちゃんの大ファンという塚原愛アナ
初回の4月13日から6月30日までに放送された全12回(7月6日の放送回は臨時ニュースのため休止)で、再放送の平均視聴率が本放送をすべて上回っているのだ。最近、本放送の平均視聴率が10%前後なのに対し、再放送は12%前後を推移。6月30日の再放送では番組最高の13・5%を記録した。
新感覚の雑学番組だ。博識な5歳の少女のキャラクター・チコちゃんが司会・岡村隆史ら大人の解答者に、「お別れする時に、手を振るのはなぜ?」といった素朴な疑問をクイズ形式で出題。答えられないと、CGで合成されたチコちゃんが顔を真っ赤にして、頭から煙りを吹き出しながら、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱(しか)りつける。子供目線で見れば、問題に答えられずタジタジとなる大人たちの姿は痛快この上ない。
それにしても、なぜゴールデン帯(午後7~10時)に放送される本放送より、翌朝の再放送が常に視聴率が高いのか。NHK関係者の話を総合すると、いくつかの要因が見えてきた。
まず考えられるのは、再放送が、平均視聴率20%台で好調をキープする朝ドラ「半分、青い。」の直後に放送されていることだ。一定の朝ドラ視聴者が、そのまま次の番組に流れ込んでくる可能性は高い。ただ、同様の条件で3月末まで放送されていた「チコちゃん―」の前番組「週刊ニュース深読み」の平均視聴率は1ケタが多かった。となると、“朝ドラ直後”だけが要因とは言い切れない。
以前、番組関連の取材をした際、制作統括の水高満氏は土曜朝の放送時間帯について、「NHKでは珍しく、若年層と40代のお母さん世代の視聴者層が突出している」と説明していた。つまり、「チコちゃん―」に対する同時間帯の視聴者のニーズが、「週刊ニュース―」以上に合致したと考えられる。休日に遅めの朝食を摂(と)る人や、出かける前に見やすい時間帯であることも再放送の視聴率を後押ししているようだ。
加えて、目に見えない工夫も凝らされている。チコちゃんの「声」を担当するお笑いタレント・木村祐一のセリフがほぼアドリブだという。司会アシスタントの塚原愛アナウンサーは「私たちは個別に打ち合わせをしているので、木村さんが何を言うかは知らされていない。岡村さんは問題の内容を知らない。だからドキドキする」と話していた。そうした“ライブ感”が視聴者にも伝わるのだろう。
放送開始からわずか3か月。NHKの木田幸紀放送総局長が「作りはシンプルだが、コロンブスの卵と一緒で作るのは大変。敬意を表したい」と最大級の賛辞を送るほどの人気番組に急成長した。あれこれと御託を並べたが、チコちゃんに“視聴率の珍現象”の理由を尋ねたら、「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と叱られるだろうか。(記者コラム・江畑 康二郎)
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