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「史上最悪の水危機」6億人が水不足に直面、毎年20万人が汚染で死亡 インド

7/13(金) 21:31配信

産経新聞

 【ニューデリー=森浩】約13億の人口を抱えるインドで、現在6億人が水不足に直面し、清潔な水を確保できないため毎年20万人が死亡しているとの報告書が13日までにまとまった。「史上最悪の水危機」とも表現。2050年に人口16億人(国連まとめ)を超える見通しの中、抜本的な対策を急ぐよう求めている。

 政府の政策策定機関「インド行政委員会」の報告書によると、ニューデリーなど21都市で20年までに地下水が枯渇する恐れがある上、30年までに人口増加などにより水の需要は利用可能な供給量の倍になるという。

 インド西部では16年夏に深刻な水不足に見舞われ、西部マハラシュトラ州で農作物が壊滅的被害を受けた。収入減に悩んだ農民ら3千人以上が自殺したケースもある。報告書では水不足が深刻化すれば、国内総生産(GDP)を6%押し下げるとも予測した。

 深刻なのは汚染だ。報告書が引用した別の水質調査では、世界122カ国中、インドの順位は120番目だった。インドの水の約70%が汚染されており、下水整備が進んでいないことから、廃水の3分の2が下水処理場ではなく、池や地下水などに直接流入し、汚染が拡大しているという。

 汚染の被害が顕著なのが、ヒンズー教が聖なる川としてあがめるガンジス川だ。印英字紙ヒンドゥスタン・タイムズによると、基準値に対し5~13倍の大腸菌が検出されたという。生活排水や工場排水、火葬された遺体や遺灰がそのまま流されていることが主な原因だ。すでに沐浴(もくよく)には適していないとの報告もある。

 インドでは5億5千万人以上が屋外で排泄(はいせつ)しており、トイレの整備が進まない実態が、水質汚染を進めていると指摘される。

 報告書は、州ごとに水質データ収集の基準が違うなど、効果的に情報共有ができていない実態を指摘。インド行政委員会幹部は「大気汚染について今は大きな危機意識があるが、水危機はそれほど注目されていない」と指摘しており、対策推進の重要性を呼びかけている。

最終更新:7/14(土) 1:33
産経新聞