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惜敗もチームに誇り 失意から成長、けん引 市川東高北野主将 <高校野球千葉大会>

7/13(金) 10:34配信

千葉日報オンライン

 「負けたことは悔しいけれど、全員で野球ができて楽しかった」

 延長10回、2時間31分に及ぶ激闘。両チーム合計24安打という打撃戦の末、惜敗した市川東高校の主将、北野郁弥捕手(17)は試合後、うれしそうだった。野球をやめることも考えた昨夏の悔しいエラー、そして大けが…。その笑顔は、困難を乗り越え、主将としてチームをけん引した充実感であふれていた。

 昨夏、当時2年生ながら大会に出場したが、2回戦で自らのミスから相手に決勝点を与え敗退。悔しさのあまり野球を続けるか深く悩んだが「この悔しさは野球で返すしかない」と発奮した。

 主将に任命されると“勝ちにこだわるチームづくり”に励んだ。練習では率先して声を出し、エラーをした選手には「それでは負けるぞ」と厳しい言葉を飛ばすことも。だがそれもチームの勝利のためだった。

 今年3月には試合中にデッドボールを受けて右腕を骨折。春の大会ではベンチから指示を出した。不利な状況でも「応援してくれているメンバーの気持ちが分かる」と前向きに捉え、誰よりも声を出した。そして5月上旬に復帰。

 この日もまだ右手の違和感は依然として続いていたが、送球ではぐっと力を込めた。昨夏から磨いてきた堅い守りと好リードで、甲子園出場経験もある柏陵に迫ったが、延長10回に勝ち越し本塁打を許すと気持ちが切れた。自分についてきてくれた仲間と、つかみかけた勝利は目前で逃げた。

 試合終了が告げられチームの誰もがうつむく中、一人、前を向いていた。

 「うちは強豪でもなんでもないけど、みんなが泣くほど本気で頑張ってくれたことがうれしい」

 自分が率いてきたチームが誇らしかった。

 泣き崩れる2年生選手の肩を抱き「このままじゃ終われないだろ、悔しさを来年にぶつけろ」。

 昨夏の自分に重ね合わせ、力強く声を掛ける。球場には爽やかな風が吹いた。