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されど最高裁判事 野党反発のトランプ人事で米国が変わる?【木村太郎】

7/13(金) 12:15配信

FNN PRIME

米最高裁判事の持つ強大な権限

近代国家では、司法、立法、行政権力を分散するのが原則だが、米国では司法が行政に立ち入る大きな権力を持っている。

例えば米国の国論を二分する妊娠中絶問題では、1973年最高裁が「妊娠を継続するかどうかに関する決定はプライバシー権に含まれる」と事実上容認する判決を下し、その後も論議を呼びながらも立法や行政上の判断基準になってきている。

【写真】トランプ氏が指名した最高裁判事で米国が変わる?

また、やはり国論を二分する人種差別問題でも、黒人やヒスパニック系住民の子弟に優先的に高等教育の機会を与える「アファーマティブアクション」について、最高裁は2016年「大学入試に受験者の人種を考慮することは憲法違反ではない」とする判決を下し、全米の多くの大学で黒人やヒスパニック系子弟の優先入学が行われている。

つまり、米国最高裁は行政や立法府の権限を越えて行政執行の規範を打ち出すことができるわけで、それを決める9人の判事は強大な権限を持っていると言える。

トランプ大統領が指名した判事候補に民主党反発

その判事の一人で、アファーマティブアクション判決では入試に人種的考慮を認める判決で決定的な役割を果たしたケネディ判事が高齢を理由に勇退するので、後任の人選をめぐり米国政界がにわかにざわめき始めている。

トランプ大統領はその候補にカバノー連邦高裁判事を指名し上院で審査が始まるわけだが、民主党は同判事の話を聞く前から声高に反対を表明しワシントンの裁判所前では反対のデモ行進も始まっている。

カバノー判事は、クリントン大統領のスキャンダルをめぐる捜査でスター特別検察官の補佐をして同大統領を厳しく訴追することを進言したと言われる。その後も訴追問題控訴判事として「不法移民には団体交渉権がない」とか「外国製品には生産地を表示すべき」などトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」政策に沿った判決を下しており、民主党が敵視するのは無理もない。

さらにカバノー氏は53歳と若く、もし任命されれば共和党系の判事多数の状況が長く続くことが予想されるので、民主党としては何としてもここで任命を阻止したいところだ。その後中間選挙で上院で多数を占めたら、改めてトランプ大統領に中間派の候補の指名を促すという作戦を考えている。

トランプ大統領の勝算は?

その上院での審査だが、現在共和党51対民主党49議席の中で、共和党内にトランプ大統領に批判的な議員が3~4人は居る。一方民主党内にも今年11月に改選される議員で、トランプ大統領の支持率の高い州を選挙区とする候補者が少なくとも3人は居り、トランプ大統領が支持と引き換えにカバノー判事の任命に賛成するよう説得している。

「たかが裁判官一人の選択」なのだが、「されど米国の今後のあり方を左右する重要行事」なのだ。

ジャーナリスト 木村太郎

最終更新:7/13(金) 12:15
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