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<旅するスマホ11>「ブエンカミーノ!」巡礼者挨拶で交流 ~サバルディカからサリキエグイ~

7/13(金) 10:31配信

埼玉新聞

 さいたま市のウェブ制作会社に勤務するヨウスケ(35)が、スマートフォンを頼りに、2カ月かけてユーラシア大陸を陸路で横断。徒歩で800kmの「スペインのサンティアゴ巡礼道フランス人の道」に挑戦し、最終目的地モロッコを目指します。ウェブディレクターならではの視点で、世界のIT状況や、現地の人々との交流をレポートしていきます。

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 6月22日、巡礼3日目。『PARROQUIAL』は、素晴らしいアルベルゲ(巡礼者用宿)だった。「寄付でいい」と言われたが、ランチまで持たせて貰ったので、前日の宿代を参考にして正当な対価だと思う金額をボックスに入れて出てきた。20代の頃なら最低限しか支払わなかったかもしれない。

 サバルディカ(Zabaldika)から2時間ほど歩くと、城壁が現れてきた。「ハイ!ヨースケ」の声に振り返ると、オーストリア人女性のハイディだった。昨日の宿で知り合った夫婦と同行しているのだそうだ。

 城壁伝いに進みアーチをくぐると、パンプローナ(Pamplona)の街が現れた。ゲームのドラゴンクエストではじめて大きな街に入ったような高揚感。ワクワクしながら歩く。地元のお婆ちゃんが「頑張ってね」と握手を求めてくる。みんな挨拶してくれるし、応援してくれる。道が間違っていたり、少しでも迷いそうな素振りだとすぐに案内してくれる。

 ショーウインドウに並ぶ赤いスカーフと白いTシャツを見かけ、何かと思って店内を見ると牛追いの祭りの写真。7月に行われるサン・フェルミン祭。間違いなくテレビで見たことのある街だ。

 カスティーリョ(Castillo)広場で、また「ヨースケ!」の声に振り返ると、昨日話したスペイン女性二人だった。「ブエンカミーノ!」

 ブエンカミーノという挨拶は、巡礼者たち共通の挨拶。ブエンはGoodの意味だから「良い巡礼を」みたいな挨拶。北海道でライダーがすれ違いざまに手を挙げる感じと似ている。休憩中にすれ違う時、歩いて抜く時、自転車で抜かれる時、「ブエンカミーノ!」とあいさつしあう。

 郵便局で、ここまでの地図など紙類や妻への土産を送った。支払いのサインをするペンタブレットに“WACOM”のロゴ。WACOMは埼玉県加須市の世界的なペンタブメーカーだ。

 午後はとにかく暑い。太陽までの距離が日本より2割くらい近く感じる光線で、体感温度は気温以上だ。汗だくになって歩いていると、バイヨンヌのバスで見かけてから何度目かの金髪坊主の20代の女性と近づいた。当初の冷たい印象も、何度か通りすがりに挨拶するうちに表情が柔らかくなって、今日やっと話が出来た。

 アイステという名のリトアニア人だった。名前の由来やここに来た理由、趣味など話した。エストニアと同じくリトアニアでも複数言語を習うらしく、リトアニア語以外に英語とロシア語。ギリシャ語とポーランド語は基礎レベル?その他の言語も言っていたが多すぎて覚えられない。「日本が好き」と、ガイドブックに挟んだ水墨画のしおりを見せてくれた。

 サリキエグイ(Zariquiegui)の山の中腹のアルベルゲ『SAN ANDRES』が今日の宿。足の裏のマメが潰れそうだったので早めに切り上げた。受付の近くで「こんにちは…で合ってます?」と日本語で呼びかけられた。エストニア以来100%韓国人に間違われていたが、やはり日本人が見ればわかるんだなと思った。

 彼女はKYOKO(50)さん。隣には、何度か挨拶をしていた渋いじいちゃんのイタリア人ジュゼッペ(68)が座っていた。スペイン語堪能のKYOKOさんとイタリア語のジュゼッペとが普通に会話している。ジュゼッペは、ベローナで30年以上印刷に関わる仕事を10年前までしていたそうだ。ここに来た理由を説明してくれていたのだが、こみあげるものがあったようで、一度席を外して戻ってくると、彼の目が赤かった。参加する理由は人それぞれだ。

 「とにかくイタリアのアマローネというワインだけは飲んでおいた方が良い」と言われた。寝る前にフェリーペに現在地を報告。30km離れてしまったので、もう会えないかもしれない。フェリーペとはもう一度会えたら、と思う。

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最終更新:7/13(金) 10:31
埼玉新聞