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“国産戦闘機”の開発、世界最先端エンジンが武器になる

7/13(金) 19:28配信

ニュースイッチ

IHI取締役に聞く「GEなども評価しているはずだ」

<IHI取締役常務執行役員航空・宇宙・防衛事業領域長 識名朝春氏に聞く>

 ―新規エンジンのプログラムが相次ぎ増産局面に入ります。
 「欧エアバスの小型旅客機『A320ネオ』用エンジン『PW1100G―JM』の生産台数が2017年度比3倍を超え、17年に10台だった大型ビジネスジェット機向け『GEパスポート20』も100台近くに増える。19年には米ボーイングの次期大型機『777X』向け『GE9X』の生産が始まる。量産初期段階の負担が重く、利益面では苦しい時期が続くが、コスト低減を進め、19―20年度かけて回復基調に乗せたい。需要拡大でサプライチェーンが逼迫(ひっぱく)しており、材料関係の値上げが懸念だ」

 ―コスト低減の取り組みは。
 「IQファクトリーと呼ぶ生産改革を進めてきた。3年前に比べて生産性を2倍にする。IoT(モノのインターネット)を活用して全工程を“見える化”し、ボトルネックになっている無駄を排除する取り組みを、海外サプライヤーを含めサプライチェーン全体に広げていく。近い将来、3Dプリンターを量産工程に使いたい」

 ―高水準の設備投資を続けてきました。埼玉県に新工場を計画します。
 「PW1100ではオーバーホールをセットで提供しており、エンジン整備能力も増やさねばならない。国内新工場を計画しており埼玉県は有力候補の一つ。19年度稼働を目指すが、装置の納入リードタイムが長期化しており、差し当たり瑞穂工場(東京都瑞穂町)に新棟を建設して修理・整備(MRO)能力を確保する。今後、スペアパーツを含めたアフターマーケット事業が拡大する。事業環境の変化を踏まえながら、筋肉質なビジネスモデルを築く」

 ―航空自衛隊のF2戦闘機の後継をめぐる日本企業の参画意義についての考え方は。
 「整備を含めたライフサイクル全体を考えると、国産化のコストメリットは大きい。技術の波及効果もある。防衛装備庁航空装備研究所に今月納入したプロトタイプエンジンにはセラミックス基複合材料(CMC)を高圧タービンなどに利用するなど世界最先端技術を取り入れた。防衛エンジンを手がけてきた実績を米ゼネラル・エレクトリック(GE)なども評価しているはずだ」

【記者の目】

 アフターマーケット事業が伸長するビジネスモデルの転換期。一方でIoTを活用したサプライチェーンの進化や国際共同開発の参画シェア拡大に向けた次世代材料対応など事業マネジメントは複雑さを増す。超繁忙期を迎える今こそ「地に足の付いた質の高いビジネスモデル」(識名取締役常務執行役員)をつくらねばならない。
(日刊工業新聞・鈴木真央)

最終更新:7/13(金) 19:37
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