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<米英首脳会談>メイ首相 米国にすり寄りも難題はFTA

7/14(土) 0:11配信

毎日新聞

 【ロンドン矢野純一、高本耕太】英国のメイ首相はトランプ米大統領との13日の首脳会談で英米の「特別な関係」を強調した。トランプ氏の大統領就任直後に、外国首脳として真っ先に会談してから1年半。トランプ氏は国際的な取り決めから次々と離脱し、欧州連合(EU)離脱で穏健路線をとるメイ氏の方針も批判するなど、両首脳には意見の違いが目立つ。メイ氏が溝を埋めようと米国にすり寄る姿勢も垣間見える。

 「我々は最も特別な関係にある」。メイ氏は12日夜、トランプ氏を招いた夕食会で、招待客の財界人を前に両国関係の絆を強調した。トランプ氏が懐疑的に見るEUを離脱することも「大西洋の両側にいる経営者をいら立たせている(EUの)官僚的な障害をぶち壊す機会だ」と述べ、米国との自由貿易協定(FTA)締結に強い意欲を示した。

 英国では気候変動対策のパリ協定やイラン核合意など国際的な取り決めから次々と離脱したトランプ氏への反発が強い。メイ氏は英議会で対米姿勢を問われるたびに「是々非々で対応する」と繰り返している。

 米国のイラン核合意からの離脱では、合意に加わった欧州各国と共に遺憾の意を表明。国連人権理事会からの米国の脱退でも、不快感を示した。

 とはいえ、EUから離脱を決め、欧州で孤立化する英国は、米国との「特別な関係」に頼らざるを得ない。米国が、EU内で米国の主張を代弁してきた英国に代わってフランスとの関係強化を進めていることにも危機感を募らせている。

 特別な関係の軸は安全保障分野だ。英国の元外交官は「国防省を中心に両国省庁間の関係は、これまでにないほど緊密になっている」と説明する。英国は、ペルシャ湾岸で影響力を拡大するイランの弾道ミサイル開発では、米国と歩調を合わせて繰り返し非難。米国が主導した4月のシリア空爆でも、メイ氏は国内からの批判を覚悟の上で、議会の承認を得ずに共同軍事作戦に踏み切った。

 米国も英国の意図をくみ取った対応をしている。今年3月に起きたロシアの元スパイ暗殺未遂事件では、英国のロシア外交官追放に呼応し、英国の倍以上の60人の外交官を追放した。

 一方、メイ氏が難しい対応を迫られるのがFTA問題だ。トランプ氏は全体利益のために妥協を強いられる多国間の枠組みよりも、個別の「ディール(取引)」を駆使した2国間交渉で成果を得る姿勢が鮮明で、英国とのFTA締結を他国との交渉の弾みとしたい考え。米国との通商関係の強化を切望する英国の立場も見透かし、「EUとの離脱交渉で妥協するメイ氏の方針ではFTAは結べない」と圧力をかける。

最終更新:7/14(土) 0:12
毎日新聞