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“わが子のような本” 持ち寄って交換 「屋根裏文庫」人気です

7/14(土) 11:00配信

長崎新聞

 あなたの本を旅に出しませんか-。長崎県佐世保市広田1丁目のアンティークショップ「TESORA」の2階に、持ってきた本の冊数だけ本棚の本を持ち帰ることができる「屋根裏文庫」がある。開設から2カ月がたち、約100冊からスタートした本は500冊ほどに。運営する横田夕子さん(41)は「本好きな人が思いを共有できるスペースをつくりたかった。本で人と人をつなげたい」と話す。
 少し暗い階段を上ると、色とりどりのランプが照らす小さな屋根裏部屋にたどり着いた。青春小説に掃除のハウツー書、クイズ本…。木製の本棚には新しい持ち主を待つさまざまなジャンルの書籍が並んでいた。
 「本が新しい世界を見せてくれた」。35歳のころに転職で文章を書く機会が増え、読書を始めた横田さん。読みだすと夢中になり作家の個性豊かな言葉遣いや表現に魅了された。
 次第に読書の楽しみを分かち合える場所をつくりたいという思いが生まれた。昨年末には友人で司書の河野睦美さん(37)に相談。本も人も手軽に集められる方法を探し、自分の本を持ち寄り新たな本を持ち帰れる仕組みを選んだ。「どんな本が入るか分からないし分類して管理するわけでもない。図書館とは違う面白さがあると思った」。河野さんは振り返る。
 知人に声を掛けたりSNSで呼び掛けたりして本を集め、5月上旬に横田さんの夫が経営するTESORAの一角に本棚と閲覧スペースを用意。場所の雰囲気や本を探すわくわく感から「屋根裏文庫」と名付けた。
 当初は盗難など心無い利用を心配する声もあったが、2人が仕事の合間に立ち寄るたびに、本棚には思わず手に取りたくなるような本が加わっていた。「本を売るのはわが子を手放すようで悩んでいた」「みんなの本棚をのぞいているみたいで楽しい」。机に置いたノートには大人から子どもまで多くの人の感想がつづられ、思いが伝わったような感覚に心が躍った。
 ネットショッピングや電子書籍が普及し、ボタン一つで世界中の本が届く時代。「便利なことで失うものもある。でもここの本には誰かが大切にしていたストーリーがある」と横田さんは力を込める。「本を介して人がつながることができる場所が広がるきっかけになってほしい」。2人はそう笑顔で語った。

最終更新:7/14(土) 11:00
長崎新聞