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昨季3勝から完全復活 ロッテ石川に“飄々淡々”が戻ってきた

7/14(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

コラム【権藤博の「奔放主義」】

 改めて、「味のある男だなぁ」と感心した。

 先月、交流戦で名古屋にやってきたロッテの石川歩(30)とグラウンドで会った。昨年のWBCで一緒に頂点を目指して戦った間柄だ。私の姿を認めて挨拶に来てくれたので、こちらは「おう」とついつい気安くなるのだが、いろいろと話はすれど、あちらは柳に風、暖簾に腕押し。調子がいいのか悪いのか、機嫌がいいのか悪いのか、飄々としていて腹の内がなかなか見えない。

 侍ジャパンのユニホームを着て世界一を目指したとき、彼をエース格として頼ったのはまさにこんな気質に惚れたからだった。WBCでは開幕戦先発の大役を担ってもらった。準決勝で敗れて実現しなかったが、決勝のマウンドも石川に任せるつもりだった。

 合宿中や日本での予選ラウンド中、他の代表選手が連れ立って外食に出かけても、宿舎の食堂でひとり、食事をしていることが多かった。群れず、流されず。自分をしっかり持っていた。

■最多勝のチャンスも辞退

 ピッチングもそうだ。150キロ超のストレートを持ちながら、練習試合では140キロそこそこ。ん!? コンディションが良くないのかと心配していると、急に物凄い球威のボールを投げたりする。かと思えば、ピンチを迎えてボールが先行、そんなしびれる場面でヒョイとチェンジアップ。打ち気にはやる打者の心理を逆手に取って、凡打を誘う。いいところを見せようとか、完璧に抑えてやろうとか、余計な欲がない。淡々と飄々と自分のできることをするだけというマイペースな性格がピッチングからもにじみ出ているから、大舞台でこれほど頼もしい投手はいないなと思った。

 そんな石川が、WBC後の昨季は苦労した。3勝11敗、防御率5・09。「抑え方が分からない」と口にし、二軍落ちも経験した。侍ジャパンのエース格という“肩書”が重荷になったか、ピッチングから力で抑えてやろうという欲が見て取れた。苦しんで、悩んで、やっと本来の自分を取り戻したのだと思う。

 今季はここまで、9勝3敗、防御率2・38。試合後のヒーローインタビューで「明日の試合に勝てばチームは5割復帰ですね」とアナウンサーから振られ、「ボクは明日は投げないので」と飄々と受け流すやりとりを見て、これぞ石川、とニヤリとしたものだ。

 14勝を挙げた2016年、シーズン最終盤にリーグトップの15勝に迫った石川に、首脳陣は最多勝を取らせてやりたいと最後の先発マウンドを用意する準備をしたが、「ボクはいいです」とこれを辞退したという逸話を持つ。つくづく「味のある男」である。

(権藤博/野球評論家)

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