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社説:お茶大の改革 「心の性」に門戸開いた

7/14(土) 11:33配信

京都新聞

 戸籍上は男性でも自身を女性と認識しているトランスジェンダーの学生を2020年4月から受け入れると、お茶の水女子大が発表した。
 共学の大学と違って女子大は戸籍上の性が壁になり、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの人には入学の道が閉ざされていた。今後、「女子」としてきた入試の出願資格を「戸籍または性自認が女子」と改めるという。国内の女子大では初めてだ。
 奈良女子大や津田塾大、日本女子大など複数の女子大でも受け入れを検討しており、女子大が前提としてきた「女性」の意味が問い直されることになる。社会生活や学校生活でさまざまな困難を抱えている性的少数者(LGBT)の権利保障に向けた一歩としたい。
 多様な性を認める取り組みは、04年の性同一性障害特例法施行後、少しずつ進んできた。
 文部科学省は15年、性的少数者の児童生徒に対し望む制服の着用を認めるなど、きめ細かな対応を求める通知を全国の小中高校に出した。これを受け、制服を男女共通のブレザーに変えたり、性別に関係なくズボンとスカートを選べるようにしたりする取り組みが中学校などで広がり始めている。
 日本学術会議も昨秋、性的少数者の権利保障に向けた提言で教育機関の在り方に言及。文科省通知で女性を自認する学校生活を保障されてきた生徒が女子大に進学できなければ、「学ぶ権利」の侵害になると指摘し、大学側は対応を迫られていた。
 受け入れを決めたお茶の水女子大は、今年から施設整備やガイドライン作りを始める。トイレ使用や体育・健康診断への配慮、通称名使用の権利などを通じて本人が安心して学べる環境を整えてもらいたい。
 性的少数者を巡っては、近年、東京都渋谷区など複数の自治体が同性カップルを認定する条例を制定したり、生命保険会社が同性のパートナーを保険金の受取人に指定できるようにしたりと、多様な性を尊重する意識が広がりつつある。
 だが国の対応は遅れており、同性婚を認めず、結婚に準じる「パートナーシップ制度」も先進7カ国で唯一、法制化していない。
 電通が15年に20~59歳の7万人に実施した調査では、13人に1人が性的少数者に該当した。学校だけでなく、家庭、地域、職場など日常生活のあらゆる場面で、多様性や個性が重んじられる社会にしていけるかが問われている。

最終更新:7/14(土) 11:33
京都新聞