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淡路関空ライン運航休止 「また、なくなるんですね」の理由

7/14(土) 15:30配信

神戸新聞NEXT

 13日、淡路島から再び、関西空港航路が消えた。関空に降り立つ訪日外国人観光客(インバウンド)の激増を受け経営環境は変わったと思われたものの、この1年間の乗客数は、かつての実績値すら大幅に下回った。明石海峡大橋開通後、一度も成功したことがない関空航路は、果たして淡路島に必要なのか-。一民間事業者の頓挫は、島全体の観光戦略を問う事態となった。(西井由比子)

【写真】係員らは出航のたびに大きく手を振り、船を見送った

■苦い過去

 共同汽船、淡路エアポートライン、洲本パールライン…。関空航路は1994年以降、淡路関空ラインを含め4社・団体が運営。関空ラインのこの1年の乗客数は1万7504人と、パールライン時に最低だった6万2570人(2003年度)をも大幅に下回った。

 パールラインは洲本市の第3セクターが運営し、7年間で約7・6億円の赤字を抱えて継続を断念。竹内通弘市長は断言する。「洲本市にはあのときの苦い記憶がある。今後、市としてこの事業を手掛けることはない」

■公設民営

 淡路広域行政事務組合、洲本市から計6千万円の助成を受けながらたった1年で事業を休止し、批判の的となっている関空ラインの吉村静穂会長は今月5日、淡路市内で会見し、運航再開の手法の一つとして「公設民営」を打ち出した。

 淡路島と外部とを結ぶ唯一の航路となった岩屋港-明石港間では「淡路ジェノバライン」(淡路市)が指定管理者として淡路市建造の船を使用。全国的にも、公共要素が強い航路については、自治体が船を用意して民間が運航する公設民営の採用例がある。しかしここでも、同じ問いが浮上する。関空航路は必要なのか。

■航路、その先

 関空航路の休止は皮肉にも、航路論議を活発化させている。門康彦市長はIR(統合型リゾート)の大阪誘致を念頭に、大阪、神戸と津名港、交流の翼港とを結ぶ案に言及。淡路島観光協会の樫本文昭会長は、首都圏と結ぶ格安便が多い神戸空港航路を有力視する。並行して今月1日、洲本港-深日(ふけ)港航路(大阪府岬町)の復活に向けた社会実験が始まった。

 淡路島は、攻めの観光戦略をどう描くか。

 樫本会長は眉根を寄せる。「航路は、あっていい。淡路島の将来を左右する重要な局面を迎えた」

     ◇

 淡路関空ラインは13日、5往復10便を定刻通り運航し、業務を終えた。洲本港には、最後の姿を見届けに来た住民の姿もあった。飲食店の従業員男性(38)は「また、なくなるんですね」と船を見つめた。

 綱とりの係員らは、出航のたびに帽子を脱いで大きく手を振り、船が小さくなるのを見送った。船長もまた万感を込めるように、何度も汽笛を鳴らした。

 洲本港発の最終便が出航した午後6時すぎ、洲本ポートターミナルビルの事務所入り口には、運航休止を告げる貼り紙が張り出された。

最終更新:7/14(土) 15:33
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