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世界的マジシャン医師が教える“うつの沼”から抜け出す方法

7/14(土) 9:26配信

日刊ゲンダイDIGITAL

 現在、うつ病と診断されている人は日本に100万人以上いるという。医師から診断されていなくても、日頃から不安感に襲われたり、ちょっとしたことで悩んでしまう人も含めれば、かなりの数になるだろう。

 このように鬱々としやすい人でも、症状を簡単に和らげる方法があるという。その原理はなんと、「マジックの手法と同じ」だと話すのは、共著「悩みにふりまわされてしんどいあなたへ」(セブン&アイ出版)を出版した、医師で世界的マジシャンの志村祥瑚さん。

 2012年、ラスベガスJrマジック世界大会で優勝。現在は米国の医療現場で実践されている、最先端の精神医学・認知行動療法ACTを研究している。

 志村氏が言う。

「マジックは、観客にその種を思い込ませて、錯覚させてしまうもの。種明かしをするまでその思い込みは解けません。悩みもこれと同じで、自らが悩むように思い込んでいることがほとんどです。悩まない人間はいません。なぜなら、人間は言葉を持っているため、その言葉によって自分に思い込ませる習性があるからです。でも、言葉を持たない動物や赤ちゃんは悩むことはないのです」

■心を病みやすい人の特徴は?

 悩みは、自分の思いや感情をすぐに言語化してしまう人間特有のものといえる。この事実に気づくだけで、症状の緩和に一歩近づくという。

「こうして自ら思い込むことは、自分で自分を騙していることになります。このループにハマることで悩みが深くなり、うつ状態に陥ってしまうのです。思い込みのほとんどは、正しいものではありません。ですから、まずはひとつの先入観や思い込みにとらわれることなく、物事を客観的に見る癖をつけましょう」

 そして、心を病みやすい人は、悩んでいる自分に嫌悪感を覚えやすいのも特徴だという。

「『悩んではいけない』というのも、思い込みです。責任感が強く真面目な人ほど、悩んではいけないという思い込みにエネルギーを費やしています。でも、悩んでいいんです。それが人間のあるべき姿だから。悩んでもいい、頑張れなくてもいいと受け止めることが大切です」

 最後に、「悩みの沼」から抜け出せない人へのアドバイスをもらった。

「過去の嫌な出来事や悪い思考が頭の中でループしている状態を、『反芻』といいます。まずはこの反芻をやめること。『なぜこんなことになってしまったのだろう』と反芻ばかりしていると、身の回りのことが手につかなくなります。『これがあったせいで、自分の人生はダメになった』と思い込むほど、ぐるぐる反芻してしまい、うつ状態になってしまいます。悩みの種である反芻をやめるには、反芻に気づくことです。気づくことができれば、別の行動を取ることができます。掃除、洗濯、料理、なんでも構いません。代わりに、好きなこと、熱中できることを探しましょう。そうすれば、『自分なんかダメだ』という思い込みが、次第にポジティブに変わっていきます」

 人間は不思議なもので、思い込みによって現実が変わるという。逆に言えば、思い込みの仕方次第で人生をよりよくすることもできるということだ。

(取材・文/伊藤洋次)