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10カ月前まで「帰宅部」、球速140キロ超エースの涙

7/14(土) 16:22配信

朝日新聞デジタル

(14日、高校野球長崎大会 佐世保工12―2諫早東)

 諫早東のエース馬場彪斗(あやと、3年)は、グラウンドからベンチへの2段の階段を下りると、椅子に両手をついてうなだれた。水色のコップでレモンティーをあおる。「きつい」。タオルで汗をぬぐっても、顔はしかめたままだった。

【写真】馬場彪斗選手=長崎県営

 2―4の六回。佐世保工の先頭打者に初球を中前に運ばれると、一気に崩れた。その後、長短打3本に3死球。この回、打者11人の猛攻で8点を許した。

 この日の暑さに加え、大会初のタイブレークにもつれ込んだ9日の鹿町工戦で、164球を投げた疲れが残っていた。「体のケアが難しかった」。それでも、この日も1人で投げ抜いた。

 140キロ超の直球に、コースに決まるシンカーやチェンジアップ。坂下透監督(51)が「馬場と心中するつもり」と語るほど大きな存在だが、10カ月前までは「帰宅部」だった。

 高校入学間もない2年前の4月。中学で投手をしていた馬場は野球部の体験入部に訪れたが、入部式には姿を見せなかった。「先輩と関係をつくるのがうまくなくて」。ただ、体を動かすのは好き。学校のトレーニング室で友達とベンチプレスなどをしているのを見た坂下監督に改めて誘われ、昨秋、先輩の抜けたチームに加わった。

 この日はコールド負けになったが、序盤は互角に試合を進めた。坂下監督は「馬場がいたから、ここまで来られた。『最強の助っ人』です」。試合後、「野球は楽しかった。10カ月、ありがとう」と涙ながらに話した馬場。明日から「帰宅部」に戻る。(横山輝)

朝日新聞社