ここから本文です

どのような情報提供のあり方が求められているのか 対応分かれた死者・安否不明者の氏名公表

7/14(土) 0:25配信

産経新聞

 西日本豪雨では今も多くの安否不明者の捜索が続いている。死者や安否不明者の氏名公表をめぐり各自治体で対応が分かれる中、不明者の氏名を公表した岡山県では、生存情報が続々と寄せられた。非常時には、どのような情報提供のあり方が求められているのか。

 岡山県では当初、市町村から寄せられた「家族や知人と連絡が取れない」などの情報を基に、基本的に人数と性別のみを公表。氏名については大半が非公表だったが、「早期の安否確認につなげるため」と方針を転換して11日から氏名を公表した結果、約30人の生存が確認され、不明者の特定作業が大幅に進んだ。

 同県によると、甚大な被害が広がった倉敷市真備(まび)町地区を中心に不明者が続出し、報道機関から氏名公表を求める要望が出されるなどした結果、「公益性の観点から不明者を特定して捜索に役立てるため」、公表に踏み切ったという。

 家族や同僚などから生存情報が寄せられたほか、報道を見た不明者本人からも申告があったという。県の担当者は「捜索活動に役立った。一刻も早い安否確認につなげたい」としている。また同県は13日、身元が確認された死亡者52人についても、氏名や年齢、性別、住所の一部を発表した。理由については「総合的な判断」としている。

 自治体が死者や安否不明者の氏名を非公表にする理由として挙げる「個人情報の保護」。しかし、行き過ぎた運用とする声は強い。

 個人情報保護法が平成15年に成立したことを受け、15~18年に全国の自治体で個人情報保護条例が設けられた。同法や条例では、本人の同意なしに個人情報を第三者に提供することを原則禁止しているが、災害時などを想定し「生命、身体や財産の保護に必要で本人の同意が得るのが困難な場合」や「緊急かつ、やむを得ない必要がある場合」は同意なしでも提供できるとする例外規定がある。また同法は報道機関への情報提供については禁止規定の適用対象外としている。

 静岡大の牛山素行教授(災害情報学)は「27年の鬼怒川水害のように、(行方不明者を)非公表としたことで生存していた不明者の捜索が延々と続いたケースもあった」と指摘。「公表によって情報が絞り込める。災害時は公表を基本姿勢にすべきだ」と訴える。

 東京大大学院の片田敏孝特任教授(災害社会工学)も「命を守ることが最優先の災害時に個人情報保護を優先するのは明らかに行き過ぎだ」と批判。「災害時の氏名の公表基準を設けている自治体は少ないのが現状で、素早い対応ができるよう事前に基準を定めておくべき。国も都道府県任せにせず、指針をつくって混乱が起きないようにしなければならない」と話した。

最終更新:7/14(土) 0:25
産経新聞

Yahoo!ニュースからのお知らせ