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28歳、クリエイター。彼はある日、脳梗塞で倒れ言葉を失った。

7/14(土) 11:01配信

BuzzFeed Japan

それまで順調に進んでいた回復が横ばいになったとき、このまま治らないのではないかという不安が途端に押し寄せた。

もっと効果的な治療法があるのではと最先端医療をうたう治療法について調べ、淡い期待を抱いた瞬間もあった。

当たり前のように存在していたものを喪失した日々は息苦しく、当時、城戸さんはよく「半分死んでる」という言葉で自分の状態を表現していたという。

失語症の当事者の54%が社会参加の困難さを感じ、家族の83.72%が社会参加の乏しさを感じていることが平成29年度のNPO法人失語症協議会の調べで明らかになっている。失語症当事者、そしてその家族は社会の中で孤立しやすいと言えるだろう。

「孤立が辛いというよりも、誰も助けることができない状態なんです。発病当初は喋ることも聞き取ることもできないので、何が起きているのかわからない。だから、人に会うのを避けていました」

最初は人と話すのは億劫だった。それでも克服しなくてはいけないと、なるべく家に閉じこもらないようにした。自分は幸運だったと城戸さんは振り返る。彼の周りには有村さんをはじめ、支え続けてくれる友人が常にいた。

「城戸は昔からポジティブで好奇心旺盛なんですよ。だから、きっと出来ないことがあっても何とかしようと試行錯誤を続けるんです」

何度使っても思い出せない言葉はある。だから、思い出した言葉はすぐさまiPhoneのメモ帳に書き留める。

「例えば、外に出かける準備をしているときに『指切り』って言葉を急に思い出すんです。本当にふとした瞬間に。次に針という言葉も思い出す。それで『指切り 針』ってキーワードでググるとこれが指切りげんまんだということがわかります」

そのときやっていることと思い出す言葉との間につながりはない。ふとした瞬間に突然、ある言葉が降ってくる。

彼のメモ帳を覗かせてもらうと、税理士の隣に書かれていたのはナンプラーという言葉だった。

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最終更新:7/14(土) 11:01
BuzzFeed Japan