ここから本文です

被災の古里思い高校野球で全力プレー 岡山・山陽高主将が優勝旗返還

7/14(土) 1:57配信

山陽新聞デジタル

 甚大な被害を受けた古里への思いを胸に、灼熱(しゃくねつ)のグラウンドに立つ。第100回全国高校野球選手権記念岡山大会で2連覇を目指す山陽の井元将也主将(3年)は、西日本豪雨で岡山県倉敷市真備町地区にある自宅の1階が水没した。13日、マスカットスタジアム(倉敷市)であった開会式で優勝旗を返還した井元選手は、一度は諦めかけた夏の舞台で野球ができる喜びをかみしめ、チームをけん引する。

 昨夏、創部69年目のチームを春夏通じて初めての甲子園に導き、今春のセンバツでは本塁打を放った主砲。大好きな野球を「初めてする気になれなかった」。記録的な大雨で河川が氾濫し、真備町地区では50人が亡くなり、多くの家が全半壊。変わり果てた姿に言葉を失った。野球を始めた小学1年の時に祖母に買ってもらったグラブや甲子園の出場記念メダルも泥まみれに。両親ら家族6人と7日未明から総社市の親戚方に身を寄せ、しばらくは「何も考えられなくてぼーっとしていた」。練習に参加できず、自宅の片付けに追われた。

 再び野球に引き戻してくれたのは仲間たちだ。「くじけるな」―。チームメートや練習試合で知り合った県内外のライバルからSNSで100件近い激励のメッセージが届いた。「家のことはいいから今は野球に集中しなさい」と両親も後押ししてくれ、10日からチームに合流した。

 練習時間を削って支援する側にも回った。真備町地区の知人方をチームメートと一緒に訪れたのは、開幕を目前に控えた11、12日。「自分の家よりも被害が大きかった。何とか手伝ってあげたかった」。泥のかき出しや使えなくなった家具の搬出、流された車の移動などのボランティア活動に汗を流した。

 14日に初戦を迎える。「真備町の全員が苦しんでいる中、野球をさせてもらっている。全力プレーで戦う」。昨秋の中国大会決勝で終盤に9点差を逆転するなど驚異的な反発力を発揮したチームの中心にいる背番号3。かつてない逆境にも屈しない。