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ありがとう、イングランド。いい夢を見させてもらった【W杯特別コラム】

7/14(土) 14:11配信

GOAL

2つの歌

クロアチアが三度目の延長戦を制して、初めてのワールドカップ決勝進出を決めた瞬間、イングランドの夢はついえた。決勝に進出していれば、イングランドにとって52年ぶりのことであった。『Goal』では特別コラム第16弾として、イングランド国民を大いに沸かせることに成功したスリー・ライオンズに焦点を当てる。

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イングランドのファンには、今回のワールドカップへの気持ちを総括する歌が2つある。

ひとつは、家には帰らないと歌うもの。まだ帰らない。ここで飲もう。仕事は忘れろ。延長だ。酔っ払いの歌である。午後、いい気持ちになって、夜の試合を観戦し、どういう結果であろうと大してストレスを感じないための歌だ。

もうひとつは、国にサッカーが戻ってくることを予言する歌。W杯の栄光が戻ってくる。栄光とともにトロフィーが戻ってくる。

この2つの歌の中心となるメッセージが矛盾したものであることにお気づきだろうか。この素晴らしいW杯において、常に彼らはじっとしていられない……サッカーが母国に戻れなくても。

期待すれば裏切られる。さらに悪いことに、イングランドはうまくいかないだろうと予想されていた。

低かった下馬評

今大会が始まったとき、イングランドには何もなかった。若いチームだから楽しませてやろう、結果は二の次だと言われていた。

だが、ドイツが敗退して道が開けた。イングランドはチュニジアとパナマを破り、決勝トーナメント進出を決めた。すると、ロシアがスペインを倒してくれた。

いやいや、ダメだ。期待してはダメだ。何が起こっても、期待してはダメだ。

だがコロンビアを退け、これまでのPK戦の悪夢を振り払うことができた。すると、準々決勝の相手としてスウェーデンが現れた。いやいや、期待してはダメだ。冷静でいなければ。そう思うそばから期待が沸きあがった。

イングランドの準決勝進出は28年ぶりだった。ラウンドが進むにつれて、会場に詰めかけるファンが増えていった。

当初、ファンは遠巻きにして眺めていた。人種差別と暴力の恐ろしい噂が聞こえてきていたからだ。だがおそらく、それだけではなかった。遠いロシアまでわざわざ行って、負け試合など見たくはない。

しかし、準々決勝ではハリー・マグワイアが得点し、デレ・アリが追加点を決めた。飛行機の予約は殺到した。突然、今大会のイングランドチームの株が急上昇し、欠席を決めこんでいたサポーターたちは、聖ゲオルギウス十字をもち、「England Are In Russia(直訳・イングランド、ロシアにあり)」を歌いだした。

そして、数千人のファンがロシアに押しかけた。夜の便の飛行機は満席となった。アムステルダム発の便にも、スペインのマラガ発の便にもイングランドサポーターが詰めかけた。試合時間までにモスクワに着く便であれば、どこ発であろうと、かまわなかった。

ひょっとして、ひょっとしたら。期待してはいないけれど、でも、いてもたってもいられない。

このチームなら信じられる。このチームと監督は、イングランドのサッカーの傷だらけの王冠を拾い上げ、磨きをかけ、陳列棚に戻してくれた。W杯ではなかったけれど、あれが始まりだった。

日がな一日、チームの良いところ、さまざまな噂話、煮ても焼いても食えない選手たちについて語ることはできる。だが、それ以上のものがそこにはあった。

そこにはイングランドの流儀がある。腹の中には厳しい決意と負けず嫌いの意志があるのだ。

さらに、おそらくガレス・サウスゲート監督率いるイングランドは、準備は十分ではなかった。それでも、もう少しのところにきていた。時には、クロアチアを破ってW杯のファイナリストになれるように見え、また時にはそう見えないこともあった。

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最終更新:7/14(土) 14:11
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