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西日本豪雨で出動「レッドサラマンダー」も! 日本を守った軍用装甲車ルーツの消防車

7/14(土) 14:10配信

乗りものニュース

「レッドサラマンダー」の前には装甲車両も

 2018年7月上旬に発生した「平成30年7月豪雨」では、西日本の広い範囲に渡って大雨被害が起こり、平成に入って最悪となる死者200人以上(7月12日時点)もの大きな被害を出しました。この度の水害で被災された方々、また亡くなられた方々には、心からお見舞いとお悔やみを申し上げます。

【写真】原型の装甲兵員輸送車、英陸軍では改良されて「イボイノシシ」に

 今回の豪雨災害には、昨年(2017年7月)の九州北部豪雨に次いで岡崎市消防本部(愛知県)の「レッドサラマンダー」が出動し、7月10日現在、現在堤防が決壊して地域の約3割が浸水した岡山県倉敷市真備町地区で活動を開始しようとしています。

 この「レッドサラマンダー」、正式には「全地形対応車」といいます。ゴムクローラー(履帯、いわゆるキャタピラー)の足回りによって悪路の走破はもちろんのこと水上航行も行うことができ、ゆえに「全地形対応車」と呼ばれています。日本ではあまり知られていませんが、同車はシンガポールのSTキネティクス社が開発した水陸両用の装甲兵員輸送車を原型としており、シンガポール陸軍はもちろんのこと、イギリス陸軍やタイ陸軍でも運用されているものです。

 ボディの色が赤くなってしまうと軍用車両の面影は消え去ってしまいますが、日本の消防がこうした軍用をルーツとする車両を導入したのは、何も「レッドサラマンダー」が初めてではありません。実はすでに40年以上前に軍用装甲車を原型とした車両の導入実績があったのです。

消防の赤に白銀の「スリーポインテッドスター」

 最初に軍用装甲車ベースの消防車を運用したのは東京消防庁でした。東京消防庁は1975年(昭和50年)に西ドイツ(当時)製のUR-416装輪装甲車をカスタマイズし、「耐熱救難車」という名称で導入しました。

 UR-416は、悪路走破性に定評のあるメルセデス・ベンツ社製のウニモグ4輪トラックのコンポーネントを流用して1960年代にラインシュタール社(現在のラインメタル・ランドシステムズ社)が開発したもので、装甲ボディは主要部で9mmの厚さを有し、7.62mm小銃弾や砲弾片に対する防御力を有していました。

 全長は5.2m、車両重量は7.6t、原型(軍用)では10人乗りでしたが、東京消防庁のものは収容人員20人(緊急時)と倍になっていました。

 なお原型では車体上部前方に機銃架があり、7.62mmもしくは12.7mmの機関銃を1丁装備することができました。またオプションで車内にNBC(核/生物/化学兵器)防護装置を搭載することも可能でした。

 東京消防庁の車両は、当然ながら銃塔や銃架は装備していませんでしたが、赤色灯とサイレンを有し、車体の前面から上面にかけてパイプを設置してこのパイプから水を放出することで火災の輻射熱から車体を守って自車を冷やしながら走れるという特徴を有していました。一定の年齢層以上の人なら子供のころの消防車の絵本に載っていたのを覚えているかも知れません。

 UR-416は西ドイツ軍(当時)に採用されることはありませんでしたが、警察や国境警備隊などに配備され、また海外では中南米やアフリカ、中東、アジア諸国などに輸出され、総計で1030両が生産されたベストセラー小型装甲車となりました。

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