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巨大自動車専用船の入港に密着 タグボートから見た着桟作業、大きな船はどうつなぐ?

7/20(金) 17:11配信

乗りものニュース

広そうで広くない港内、巨大な船はどう移動?

乗りものニュース

 横浜港にいま、日本郵船の自動車専用船「ピスケス・リーダー」が入港してきました。2018年7月21日(土)と22日(日)の両日、横浜港大さん橋ホール周辺にて開催される「海洋都市横浜うみ博2018」における一般公開に向け、それに先立つ20日(金)朝、同船はここ横浜港の大さん橋に着桟するのです。着桟とはその字面どおり、桟橋に船を着けることです。

【写真】けっこうギリ? ベイブリッジをくぐる「ピスケス・リーダー」

「ピスケス・リーダー」は全長約199m、全幅約36m、6万9931総トンという巨体です。これくらいの大きな船になると、どうしても小回りが利きません。そうした船が入港する際、舵や推進器の代わりとなり、港内などでの移動をサポートするのがタグボートです。

「船はクルマに比べ、自分の意志とは若干動きがズレます。また舵を切り曲げるときは、お尻を振りながら大きく回っていきます。ゆえに、港内を何百メートルの船が直角に曲げていこうとすると難しさが出てきます。そこで我々のようなタグボートが小回りを利かせるのです」(ウィングマリタイムサービス 松田船長)

 タグボートが大型船を引くときはロープで引き、押すときは船体どうしを接触させて直接押します。タグボートのへさきによく古タイヤが見られるのはそのためです。

 ちなみにこのタイヤ、ウィングマリタイムサービスでは中古のジェット旅客機用タイヤを使用しているといいます。

作業は「危険そのもの」

 タグボートは前述のような役割を担うことから、船体に似合わない高出力のエンジンを搭載しているのも特徴です。日本郵船所有でウィングマリタイムサービスが運行する「魁」は、全長37.20m、全幅10.20m、272総トンというサイズに、3236kw(4400馬力)のエンジンを搭載しています。たとえばいま着桟作業中の「ピスケス・リーダー」が6万9931総トンに対しエンジン出力は1万3750kwであるのに比べると、かなりパワフルなことがわかります。

 また、スクリュー部分はプロペラが水平方向に360度回転し、舵と推進を兼ねています。小型のボートなどに見られるものと同様な仕組みです。小回りが利き、水平移動が可能など、タグボートにうってつけなのです。そうした特徴があるのはもちろん、繊細な操船が求められる場面が多いからです。狭い港内、事故とは紙一重です。

「船というのは巨大な鉄のカタマリが浮いているわけで、それをタグボートで無理矢理動かそうというのです。作業は『危険と隣り合わせ』というよりも、『危険そのもの』であるということを忘れないようにしています。大きいものに対し自分たちのパワーで対処していますけれども、決して過信しないようにしています」(ウィングマリタイムサービス 松田船長)

 もちろん、細心の安全対策が敷かれ、そして熟練の技で作業は安全に進んでいきます。途中、風が強いことから、ウィングマリタイムサービスのもう1隻のタグボート「吉野丸」も作業に加わりました。風速にして、おおよそ7m/sから8m/s程度からタグボート2隻体制を検討し始め、15m/sくらいからは着桟を見合わせることも検討するそうです。

 やがて「魁」の先導開始からおよそ1時間半後、「ピスケス・リーダー」は無事、大さん橋に着桟しました。

 ウィングマリタイムサービスではこうしたタグボートの作業を、年間1万5531作業(2017年度)担当しているとのことです。

乗りものニュース編集部