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甲子園で「世紀の落球」選手の今 「泣きそうになった」仲間の言葉 「大学では落とすなよ」

7/25(水) 7:00配信

withnews

 誰にでも思いだしたくない若い時の大失敗はあります。そんな大失敗を、全国中継される場所で起こしてしまった人は、どんな人生を歩むのでしょう。今も語りぐさになっている「世紀の落球」は8年前、夏の甲子園で起きました。開星(島根)は九回2死まで仙台育英(宮城)をリードしながら、センターの落球によって逆転負けを喫したのです。当時、センターだった本田紘章(ひろあき)さん(25)を訪ねました。(朝日新聞松江総局記者・内田快)

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ショールームで語り出した思い出

 場所は島根トヨペット松江店。自動車のセールスマンとして働いている本田さんは、ショールームの一角で当時の様子を懐かしそうに語り始めました。

 そのフライは、決して難しいフライではありませんでした。この1球を、いつも通りにグラブに収めれば、3アウト。勝利は目前でした。だから、なのでしょうか……。

 「捕ってから考えればいいことを捕る前から考えてました」

頭に浮かんだ「校歌を歌う姿」

 5対3と開星がリードして迎えた九回表の仙台育英の攻撃。2死となった場面で、本田さんの頭には早くも、整列して校歌を歌う自分たちの姿が浮かんでいました。「それから、アルプスにあいさつして、宿舎に帰って、こっそり持ち込んだテレビゲームをして――」。

 そんな想像をふくらましている内に、安打や死球などで1点を奪われ、2死満塁に。一打逆転のピンチでしたが、「まあ大丈夫だろう」と思っていました。

 相手バッターが、本田さんがいるセンター方向にフライを打ち上げました。「山陰のジャイアン」ことマウンドの2年生エース・白根尚貴(なおき)選手(25、現DeNA)は勝利を確信し、ガッツポーズを作りました。

 初回から風が強いことは分かっていました。追いついて落下点に……。

 捕れたはずでした。しかし、グラブに入った感触がなく、下を見たら、ボールが。「これは夢か」。スコアボードを振り返ると5対6の数字が見え、気づくとライトの選手に肩を支えられていました。

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最終更新:7/25(水) 7:00
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