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<北朝鮮内部>首脳会談の成果どこに? 金正恩政権に失望広がる 暮し悪化で不満

7/30(月) 5:10配信

アジアプレス・ネットワーク

中国、韓国、米国の首脳と連続して会談を行ったことで、北朝鮮国内では金正恩氏の評価が好転し、権威高揚にも成功したように見えた。だが、7月に入って以降、住民の間で政権に対する失望の声が広がっていることが分かった。経済悪化が続き暮しが改善される兆しが見えないことに不満が強まっている。(石丸次郎)

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4月27日に板門店で行われた南北首脳会談。金正恩氏が軍事境界線を越えて南側に入り、文在寅大統領と握手する場面を、一日遅れで北朝鮮の住民もテレビで見た。国内の取材パートナーたちに感想を求めると、
「感動した」
「敵地に入っていく金正恩元帥の勇気はすごい」
「これで暮らしが良くなる」
「南が助けてくれる」

と、喜びと期待を露わにする人が大半だった。その後、習近平中国主席と計3度、さらに6月12日にトランプ米大統領と首脳会談もこなし、金正恩氏に対する国内の評価は急上昇した。

ところが、板門店会談から3カ月が過ぎた今、北朝鮮国内で失望の声が広がっている。変化が見えず、経済悪化が続いているからだ。

◆平壌の空気は冷めました

平壌から7月初めに中国に出国してきた中堅ビジネスマンが、匿名を条件にアジアプレスの中国人メンバーとのインタビューに応じた。

――韓・中・米との首脳会談をこなし、金正恩氏の国内で評価が随分高まったというが?
「韓国や大国との首脳会談が続いて、労働新聞などで金正恩元帥様の偉大な外交術だと称えているが、空気は覚めてしまったと思う。暮らしはひどいままだし、何も変わる様子がないからだ。物事が分かっている人たちは、(首脳外交は)経済が行き詰まったので頭を下げた、降伏したようなものだと言っている。平壌の人の多くは、核開発のせいで経済制裁を受けていることを知っているから。金正恩はやはり若造だという人もいる。

職場の朝会や、住民対象の講演などで、『中国と関係良くなったといって幻想を持ってはならない。米国と韓国が敵でなくなったわけではない。緊張を緩めてはならない』、こんな内容を繰り返している」

――制裁で平壌の経済も悪化したか?
「収入が以前の半分になったと考えればいい。お金の流通が悪く、ビジネスがうまくいかない。市場でもモノが売れない。タクシーも需要減で客が減った。知り合いもタクシー運転手を辞めた」

――平壌の食糧配給はどうか?
「工場、職場ごとに異なる。国家貿易機関、軍需工場、保衛員、保安員などには毎月白米が供給されている。一般の機関や工場は、世帯主だけが白米で、家族は雑穀。6月の配給は10日分だけ支給された。雑穀7対白米3だった。以前より減った」
※北朝鮮で地域として食糧配給が維持されているのは平壌だけである。

――食糧が足りないのか?
「いや、市場でいくらでも買える。国に金がないのだ。人民軍兵士の待遇が非常に悪くなって、(息子・娘を入隊させている)父母の不満が強い。3カ月に一度、差し入れに行かないと飢え死にすると言い合っている」

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