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死亡例や後遺症も…抗菌薬の使い過ぎに注意 医師ら「風邪には効かない」

8/1(水) 10:21配信

西日本新聞

厚労省、使用量20年までに3割減のプラン策定

 抗菌薬(抗生物質)が効かない細菌「薬剤耐性菌」が医療現場で広がり、治療が長期化したり、最悪の場合は死亡したりするなど世界的に問題となっている。抗菌薬の過剰使用が背景にあるとして、厚生労働省は、抗菌薬の使用量を2020年までに13年比で3割減らす「薬剤耐性対策アクションプラン」を策定。効果のない風邪や胃腸炎への処方や、漫然とした長期投与を控えるよう呼び掛けている。九州の医療機関や地域でもさまざまな取り組みが始まっている。

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 「抗菌薬を賢く使わなければ、未来の子どもたちに治療の道がなくなってしまう」「まず小児科医から改めるべきだ」

 福岡市で4月に開かれた日本小児科学会学術集会のシンポジウム。小児科医らが「プライマリ・ケア(初期治療)での抗菌薬適正使用」をテーマに、ウイルス性の風邪に抗菌薬が出されるなど、不適正処方が頻発する現状について意見を交換した。入院中の子どもが薬剤耐性菌に感染し、打つ手がなく亡くなったり、後遺症が出たりしていることも紹介された。

「日本では使われ過ぎている」医師が問題提起

 抗菌薬が効くのは尿路感染症、マイコプラズマ肺炎、腸管出血性大腸菌感染症(O157など)、結核、敗血症など細菌性の感染症だ。風邪はほとんどがウイルス性。シンポジウムに登壇した小児科医や薬剤師によると、抗菌薬がよく処方される中耳炎も、細菌によるものは一部しかない。

 福岡市東区の深澤満医師は、中耳炎や副鼻腔(びくう)炎などでの抗菌薬処方を重症例だけに限った。この結果、抗菌薬を含む処方箋の割合は18・9%(2001年)から1・5%(17年)まで減ったが、重症化したケースはなかったと指摘。「乳幼児への安易な抗菌薬使用は、耐性菌を増やすだけでなく、大切な腸内細菌を破壊し、肥満やぜんそく、アレルギーなどを誘発するという欧米の調査結果が多数報告されている。せきや鼻水などの風邪症状は自然に治るのに、日本では使われ過ぎている」と問題提起した。

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最終更新:8/2(木) 17:43
西日本新聞