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生活に入り込む中国の無人物流 課題は対応する交通法規の整備

8/2(木) 16:35配信

東方新報

【東方新報】人工知能(AI)を利用した「無人時代」が、中国の物流配送業界で実現しつつある。

【写真】京東の配達用ドローン

  京東(JD.com)はこのほど、世界初の全自動無人配達とセルフピックアップ方式の無人配達拠点の開発に成功したと発表した。蘇寧物流(Suning Logistics)は、2020年には末端配送の自動運転技術が普及し、無人配達車の規模化が実現すると表明。一方、菜鳥網絡(Cainiao Network)は、無人倉庫や無人車、無人機技術はすでに成熟し、物流から配達先までの全ネットワークを網羅する配達技術はすでに限られた範囲では成功しているという。

 ■人工知能物流網が実現中

 自動操縦無人車が安全に走行し、「コンボイ」と呼ばれる配達塔に接合すると、塔の頂部で待機中の無人機に荷物を引き継ぎ、顧客の引き取りポイントまで飛行して正確な地点に投下する。

 顧客の居住区側には、保温や冷蔵機能をと顔認識機能を併せ持つAI保管ボックスが設置され、顧客が棚を開け荷物を取り出すまで2秒。家の玄関では、「菜鳥BOX」が設置され、鍵一つで開けることができる。収納容量は伸縮自在で、録画機能も付いている──雄安(Xiong’an)市民センターで完成したばかりの、「菜鳥」の無人物流の様子だ。

 北京の黄渠卡夫卡(Huangqu Ka Fu Ka)居住区。1台の小さな黄色の配達車が居住区の入り口に近づき停車すると「こんちわ!開門してください!」と音声が流れた。

 6月にグレードアップした蘇寧の無人車「臥龍一号」が、北京の蘇寧小店黄渠店に導入され、商業運用を始めた。中国で初めてとなる、商用の無人配達車だ。無人車から無人機、AI保管棚、無人物流の段階を経てラストワンマイルから配達先の「ゼロメートル」までの、すべての問題を解決する。

 菜鳥、蘇寧、京東などはみなビジネスチャンスを逃すまいと必死なのだ。

 ■視覚と慣性誘導などの多種のAIが支える

 2018年の中国のAI物流市場の規模は1000億元(約1兆6412億円)で、今後の数年の伸びは20%に達すると言われている。

 菜鳥、蘇寧、京東などの物流会社は、無人物流の領域で多くの技術開発を先行させてきた。菜鳥の専門家の朱氏は、「無人物流には、大きく二つの仕事がある。物流要素のデジタル化で物流要素をつなげる仕事と、自動化設備で搬送をする仕事だ」とする。

 朱氏は「ビッグデータとクラウド、IoTなどの技術を使い、荷物の体積や内容物、目的地などの要素をデジタル化して読み取って初めて、車両情報との最適のマッチングが実現する」という。

 視覚技術によって荷物の体積を分析し、AIセンサーでデータを読み取る。無人倉庫では、自動化された機械が商品の仕分けと包装を行い、無人搬送車と無人フォークが荷物を運ぶ。センサーで荷物の目的地を検知することにより、自動化ラインで荷物を無人配達車の上まで荷物を移動できるとしている。

 蘇寧の「臥龍一号」の走行速度は、時速12キロ。登坂できる角度は最大で35度、持続走行時間は8時間だ。「臥龍一号」が単独で道路を走行できるのは、多種のAIハイテクを融合させることにより、周囲の歩行者や車両や障害物を認識し、走行に最適なルートを自動計算するという。

 無人車は現在、大型化の方向に向かっている。蘇寧物流は今年5月に上海奉賢区(Fengxian)で、大型無人車「行龍一号」の走行検査を行った。

 積載重量40トンのテスト車両で、300メートル以内の正確な識別能力と、秒速25メートルの反応速度を実現した。自動緊急制動、や歩行者検測、障害物自動回避などの機能を実現した。

 ■対応する交通法規の整理必要

 完全無人配達は、実際にいつ国民生活に入ってくるのだろうか?

 京東はAI設備の常態化運用を開始している。無人機については、昨年から、江蘇(Jiangsu)、青海(Qinghai)、海南(Hainan)などで常用している。

 ただし、無人物流の大規模な運用には、依然として法的に乗り越えるべき課題が残されていると、菜鳥の専門家の朱氏は指摘する。「例えば、無人車の走行、無人機の飛行にはいずれも対応する交通法規が無い。技術の更新と関連する法律が改正されれば、大規模な無人配達が実現するだろう」(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

最終更新:8/2(木) 16:35
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