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「おまえも死ぬぞ」 響く金言、お寺の掲示板に熱視線

8/4(土) 19:12配信

朝日新聞デジタル

 短い言葉で仏教の教えや人生訓などを伝えるお寺の掲示板が各地で注目を集めている。生や死への鋭い洞察にハッとしたり、温かなメッセージに和んだり。SNSでは、お寺の掲示板を投稿してもらう「輝け!お寺の掲示板大賞2018」も始まった。お寺の掲示板に目を向けると、思わぬ気づきがあるかもしれない。

【写真】東京都中央区の築地本願寺の掲示板=仏教伝道教会撮影

 「おまえも死ぬぞ」。岐阜県郡上市の願蓮(がんれん)寺に掲げられた言葉が、ツイッター上で話題を呼んでいる。旅行で訪れた京都市の中田絢子さん(36)は「お寺の格言掲示板、いつもハッとさせられるけど、ここまで衝撃を受けたのは初めて」としてツイート。4万回以上リツイートされ、「いいね」も10万件を超えた。コメント欄には「響く」「端的で真実」などの声が寄せられた。

 中田さんは、6月の大阪府北部を震源とする地震の揺れで死を意識したという。「生も死も平等に存在し、どちらが特別ということではない、と教えてもらったように思います」

 石神明住職(80)は「人生の真実のあり方を端的に教えるのが仏教。死をひとごとに思いがちだが、死は誰にも平等に訪れる。そのことに目覚めることで、命や生き方を見つめ直してもらえれば」と話す。

 一方、ツイッターやインスタグラムでも7月から、「お寺の掲示板大賞」の公募が始まった。ハッシュタグ「#お寺の掲示板大賞2018」で検索すると、「他人と過去は変えられないが自分と未来は変えられる」(東京・築地本願寺)、「私のわがまま当(あた)り前、他人のわがまま許せない」(愛知・西岸寺)など各地のお寺の掲示板がアップされている。

 大賞を企画した仏教伝道協会(東京)の江田智昭さん(42)は「一般の人が仏教の教えに関心を持つ入り口になれば」と言う。お寺離れと言われるが、協会が毎月開く初心者向けの講座には毎回80人の募集が埋まり、若い世代の参加も増え、仏教の教えに関心を持つ人は少なくないとみる。

 京都市下京区の仏光寺は、半世紀前から門前に「今月の標語」を掲げる掲示板の「老舗」だ。生きるヒントを日常の言葉で8行にまとめた掲示板は「八行標語」と親しまれ、書籍化もされた。吉田譲・宗務部長(50)は「立ち止まってもらえるかが勝負。流行語などを入れて時代性や意外性をもたせ、言葉の語呂や流れにも気をつかう。悩みを抱える人に響く言葉でありたい。人間はどうしても自分の考えが正しいと思い込んでしまうもので、自らの立ち位置や世界が変わり、新しい一歩を踏み出してもらえれば」と話す。(久保智祥)

朝日新聞社