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挑戦する勇気をくれた、ドジな警察犬「きな子」銅像化へ

8/4(土) 10:31配信

sippo

 誰にでも失敗はつきものだ。この犬もまた、失敗続きだった。文字通り、きな粉色の毛並みから「きな子」と名付けられた見習い警察犬のラブラドールレトリバーだ。警察犬の試験に失敗すること6回。それでも、あきらめずに試験に挑み続ける姿が人気を呼び、映画にもなった。2017年3月、14歳で息を引き取ったが、生まれ育った香川県丸亀市に銅像を作り、その姿を残そうと地元の有志が呼びかけている。クラウドファンディングで製作資金を募ったところ、全国各地から応援のメッセージとともに支援が集まっている。

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「ダメかわいい」きな子の魅力

 2002年に香川県の警察犬訓練所に誕生したきな子は、同じく見習いの訓練士山田智紗さん(旧姓川西)と共に、警察犬になるという使命を果たすため、日夜訓練に励む日々を送っていた。

 ところが…、香川県が開催する警察犬の発表会に1匹だけ見習いとして出場したきな子は、大失敗をしてしまう。80センチのハードルに前足を引っ掛けて真っ逆さまに転倒してしまったのだ。続く、平均台、幅跳びと、4つの障害物のうち3つに失敗。“警察犬”のイメージとはかけ離れたドジっぷりが「ダメかわいい」と、地元メディアが報道した。

「とても素直で、ビビり(怖がり)な子なんです」。そう語るのは、長年、きな子とパートナーを組んでいた訓練士の山田さん。山田さんにとってきな子は、訓練士になるための下積み時代を共にした相棒だ。報道されたドジっぷりとは対照的に、きな子の日頃の訓練は、生真面目そのものだった。山田さんに「ほめてもらいたい」と献身的に訓練に励むきな子と、「合格させたい」と時には厳しく接する山田さん。涙あり笑いあり、ひたむきに合格を目指す二人の姿に、自分を重ねた人は少なくない。

 亡くなったいまでも、きな子のブログには、「勇気をありがとう」「ずっと応援しているよ」と全国のファンからの温かいメッセージが届いている。

合格率わずか10%の難関

 警察犬には、各都道府県警が飼育している「直轄警察犬」と、民間の訓練所などが訓練した「嘱託警察犬」の2種類ある。嘱託警察犬になるには、警察が実施する犯人の足跡を追う足跡追及試験か、犯人の匂いがついた布を嗅ぎ当てる臭気選別試験か、いずれかに合格しなければならない。きな子が目指していたのは、後者の臭気選別試験。合格率はわずか10%とも言われる難関だ。

 臭気選別の中で多くの犬がつまずくのが、「ゼロ回答」だ。「ゼロ回答」とは、5つの選択肢の中に答えがないというもので、選別台から“布をくわえてこない”ことが正解となる難問。

 きな子は、この「ゼロ回答」に苦しんだ。きな子はとても素直な犬なので、布をくわえてこなければ怒られるという使命感も強かった。そのため選別台に並んだ布の中に正解がない場合でも、必死に正解を見つけようと何往復もした。そして、布を持って帰らないと不安になってしまうビビり(怖がり)でもあったため、答えに自信がなくても布をくわえてしまい、不正解となってしまった。それでも、ほめられたい一心で訓練に励むきな子に山田さんは「思わず抱きしめたくなるほど健気な子でした」と振り返る。

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最終更新:8/4(土) 10:31
sippo