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ソーシャルメディアで批判殺到! ドイツのクルーズ船、絶滅危惧のホッキョクグマを射殺

8/4(土) 8:11配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

・7月28日(現地時間)、ホッキョクグマがドイツのクルーズ船「ブレーメン号」の警備員に撃ち殺された。

・クルーズ船を所有するハパック・ロイド・クルーズ(Hapag-Lloyd Cruises)によると、ホッキョクグマが撃たれたのは、クマが観光のために訪れた乗客の安全を確認していた「ホッキョクグマ警備員」を襲った後のことだという。

・ソーシャルメディア上では、絶滅寸前の動物の命をその生息地で奪ったことに多くの批判が寄せられている。

ドイツのクルーズ船運行会社ハパック・ロイド・クルーズが、厳しい批判の声にさらされている。同社が雇った警備員が北極海の島でホッキョクグマを撃ち殺したためだ。

これは7月28日、クルーズ船「ブレーメン号」がノルウェーのスバールバル諸島のスピッツベルゲン島に停まったときに起きた。ハパック・ロイド・クルーズの30日の発表によると、同クルーズ船の「ホッキョクグマ警備員」の一団が乗客に先駆けて上陸、付近に動物がいないか確認していたところ、1人の警備員がホッキョクグマに「不意に襲われた」ため、自己防衛として別の警備員がクマを撃ち殺したという。

ホッキョクグマが撃たれたのは1発。襲われた警備員は明らかに命の危険にさらされていて、クマにその場を立ち去る様子はなかったと同社は主張している。

Joint Rescue Coordination for northern Norwayは28日、ツイッターでホッキョクグマが撃ち殺されたことを認めた。

「今回の事件を非常に残念に思います」ハパック・ロイド・クルーズは述べた。「我々は、環境的に繊細なエリアを訪れる責任を自覚し、全ての自然と野生生物を尊重します」

ドイツのハンブルクに拠点を置く同社によると、ホッキョクグマに遭遇した警備員は頭に怪我を負い、空路病院へ運ばれたが、命に別状はないという。

ニューヨーク・タイムズの電話取材に対し、同社の広報担当であるモリッツ・クラウゼ(Moritz Krause)氏は、通常、野生のクマを見かけた場合、警備員はクマを追い払うため「空に向かって銃を撃つ」と話した。しかし、負傷した警備員は襲撃される前にホッキョクグマを見なかったという。

スピッツベルゲン島を含むスバールバル周辺には、3500頭のホッキョクグマが生息していると見られている。地球上に生息する数は3万1000頭以下と言われるホッキョクグマは、世界で最も絶滅の危惧に瀕している種の1つだ。

気候変動の影響で生息環境が著しく変化するにつれ、ホッキョクグマが直面する窮状に対する人々の関心も近年、高まっている。

そして、ホッキョクグマに遭遇する危険性を、この地域を訪れる人々はよく知っている。

スバールバル知事のウェブサイトには、「スバールバルではホッキョクグマの危険があるため、集落の外に出る場合、ホッキョクグマを驚かせ、追い払うのに適切な手段を装備しましょう。集落の外では火器の携帯を勧めます」とある。

また、ノルウェー極地研究所のウェブサイトに掲載されているハンドブック『Cruise Handbook for Svalbard states』には、「ホッキョクグマに遭遇するリスクを踏まえ、スバールバルを訪れる者は常に、ライフルや自衛用の手投げ弾、緊急信号を送るためのフレアガンもしくはフレアペンといった、ホッキョクグマを追い払ったり、野営地点を知らせるための火器と防護装置を携帯しなければならない」とある。

それでも、観光客を動物の自然の生息地へ連れて行き、世界で最も絶滅の危惧に瀕した動物の死を招いたクルーズ船会社に対し、ソーシャルメディア上で怒りの声を上げる人々もいる。

“ホッキョクグマはその生息地で@HLCruisesInt に殺された。みなさん、お願いです。この恐ろしい企業をボイコットしましょう。“

“己の欲のために自然界にいるホッキョクグマを撃つとは、おめでとう。さぞ誇りに思っていることだろう。要するに、不快で古い自然のために、儲けた金を台無しにしたくないってことだろう?“

“どうして@HapagLloydAG は自然の生息地にいたホッキョクグマを殺したことを深く悲しみ、観光客を連れてそのふるさとに入り込むのを止めると言わないんだ? それとも、君たちのオフィスにホッキョクグマを連れて行かなければ分からないのか? #polarbear#hapaglloydcruises“

“ブレーメン号が観光客をスバールバルに連れて行かなければ、誰も傷つくことはなかったし、ホッキョクグマが命を落とすこともなかった。ドイツのハパック・ロイド・クルーズは、ホッキョクグマの安全よりも欲に関心があったんだろう。“

こうした批判を想定してか、ハパック・ロイド・クルーズの発表文は謝罪で終わっている。

「ハパック・ロイド・クルーズは、経験豊富なクルーとともにこの地域を長年にわたって旅しています。責任あるパートナーとしてクルーズ船のオペレーターは地元で尊敬され、このエリアで求められる適切な行動について、専門家たちは積極的に乗客に情報提供しています。このような事件が起きてしまったことについて、非常に申し訳なく思います」

ハパック・ロイド・クルーズは1891年に創業、ブレーメン号は1990年から運行している。

[原文:A cruise line is facing public fury after one of its guards shot and killed a polar bear]

(翻訳、編集:山口佳美)

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