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植物状態の夫介護する73歳妻、看護師が送迎を買って出て10か月 浙江省

8/4(土) 10:35配信

東方新報

【東方新報】「呉おばさん、私が車で家まで送っていくよ」。定時で仕事を終えた浙江省(Zhejiang)衢州市(Quzhou)の病院に勤務する看護師の劉佳さん(33)は、病室で寝たきりの夫に付き添う呉さん(73)に声をかけた。

 呉さんの夫の周さんは、2016年1月、交通事故に遭い、その後は植物状態が続いている。呉さんは片時も離れず、家族と交替で夫に付き添っている。

 そんな老夫婦の姿に感銘を受けた看護師の劉さんは、呉さんと年齢の隔たりを超えて親しく交わる友人となった。

「もうすぐ3年になるが、呉おばさんはずっと昏睡(こんすい)状態の夫のそばを離れない。本当にすばらしい人。私は、呉おばさんを自宅まで送迎することに決めたの。周おじさんが目を覚ますその日までね」

 ■「夫はきっと目を覚ます。絶対に諦めない」

 呉さんは日中を周さんの介護にあて、夜は子どもたちが代わりに面倒を見る。その生活が、毎日、途切れることなく続いている。しかし、依然として周さんが目を覚ます兆候は見られず、この数年でかかった医療費は、100万元(約1600万円)以上になるという。

 呉さんの周囲には、このまま財産を費やし続けるぐらいなら、治療を諦めることも考えた方が良いのではないかと提案する人も少なくない。だが、呉さんと家族は、「絶対に治療を諦めない。毎日見舞いに行くし、希望はある」と断固たる決意だ。「夫は良き亭主であり良き父親でもある。仕事と家事ともによくこなす人なんです」と呉さんは言う。

 劉さんは、老夫婦の愛情に心を打たれた。「この病院で、周さんのようなケースの患者を見ることは、そんなに珍しくない。ただ、呉おばさんのように、こんなに長い年月を諦めることなく、精一杯努力をして介護をする人をみることはあまりなかった」と話す。

 それから劉さんは、呉さんと友達になることを望んだ。「私は本当に、心から呉さんのことを大切に思っているの。可能な範囲で、呉さんにできる限りのサポートをしていこうと思っています」

 昨年10月のある大雨の日、劉さんは呉さんがどうやって病院から自宅に戻るのか気にかけていた。バスで帰るということだったが、劉さんは呉さん宅が自宅から1キロ程度の場所にあることを知り、呉さんを家まで自分の車で送り届けた。

 初めて呉さんを自宅に送り届けたこの日から、劉さんによる送迎は現在まで、すでに10か月も続いている。

 劉さんも、いつか周さんが目を覚ます日が来ると信じている。その日が来るまで、呉さんの送迎を続けることを誓っている。

「夫が目を覚ましたら、まず劉さんにお礼を言わせないとね」。呉さんと家族も、その奇跡が起きる日をずっと待ち続けている。(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。

最終更新:8/4(土) 10:50
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