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<夏の高校野球>創志学園の西投手 生かされた命、力投誓う

8/5(日) 23:46配信

毎日新聞

 ◇第100回全国高校野球選手権記念大会の開会式

 5日に開幕した第100回全国高校野球選手権記念大会の開会式で、創志学園(岡山)のエース・西純矢投手(2年)は「西日本豪雨の被災地に元気を」との思いを胸に入場行進した。岡山で犠牲者が出ており、広島の友人の家も被害に遭った。昨年10月には父雅和さん(当時45歳)が病気で他界している。「生きて野球ができることに感謝して、精いっぱいのプレーをする」。自分に誓い、初戦に臨む。

 激しい雨が降り出した7月6日夕。西投手ら野球部員は岡山市内の室内練習場で打撃練習などに励んでいた。ダンダンダンダン--。屋根に当たる猛烈な雨音は今まで聞いたことがなかった。翌朝、学校の寮で見たテレビには土砂崩れや河川氾濫で変わり果てた各地の様子が映っていた。

 出身地の広島市で暮らす中学時代の友人に電話をすると、「家の中にまで水が入ってきた」と力ない言葉が返ってきた。豪雨の被害が身近に起きていることを実感した。

 昨年10月11日に父が亡くなったことも改めて思い返した。プロ野球・広島カープが好きな父の影響で、西投手は小学2年から野球を始めた。仕事を休んでまで試合を見に来てくれた父。「甲子園に行けるように頑張るんだぞ」。高校入学前に掛けられた言葉がよみがえってきた。

 「生かされている命に感謝し、全身全霊でプレーする」。2011年の東日本大震災直後のセンバツ開会式。選手宣誓した当時の創志学園主将の言葉を心に刻む。西投手は「死が身近にあったことで、今、選手宣誓の言葉が心に響いています」と話す。

 初戦は大会第5日の創成館(長崎)戦。「一試合でも多く投げ、被災地に元気を届けたい」。銀色の文字で「10・11 父との約束」と刺しゅうされたグラブでマウンドに立つ。【加藤佑輔、戸田紗友莉】

最終更新:8/6(月) 0:11
毎日新聞