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“聖地”のプラモ10万点が水没 岡山・真備の模型店長「先見通せない」

8/7(火) 0:00配信

山陽新聞デジタル

 全国の模型ファンから“聖地”と呼ばれる店が、西日本豪雨で壊滅的な被害を受けた。倉敷市真備町川辺の「エラヤ」。国内外の希少品も含め約10万点もの商品は水に漬かり、泥にまみれた。再建を望む人たちから激励のメッセージが続々と寄せられているが、団迫敬郎店長(62)=岡山県矢掛町=は「先のことは全く見通せない」と途方に暮れている。

 姫路城、19世紀の大型帆船、人気アニメのロボット…。店の前に山積みになったプラモデルは、どれも箱がふやけて変形し、泥にまみれていた。団迫店長は被災後、2階建ての1階天井まで水没した店から商品を運び出し、外で乾かす作業を続けてきた。

 店内(約260平方メートル)には100を超える棚を構え、商品をうずたかく積んでいた。ファン垂涎(すいぜん)の希少品も多く、1980年代に斬新なデザインで世界中から注目を集めたオートバイの名車「スズキ・カタナ」はその一例だ。当時、テレビ放映された刑事ドラマ「西部警察」で、俳優舘ひろしさん演じる若手刑事の愛車バージョンの模型は12万円以上の値を付けていた。

 戦車や戦闘機、戦艦といった軍用関係の品ぞろえは国内屈指とされた。それらを含め「全部だめになってしまった」と団迫店長は肩を落とす。

 30年前の開業当時は普通のおもちゃ店だったが、少子化時代を見越して20年ほど前から大人の愛好家向けにかじを切った。国内外から仕入れた商品の豊富さは、目の肥えたファンをうならせ、ネット通販では全国から注文が入り、外国人客が店を訪れることもあった。

 ファンにとっては箱も商品の一部で、傷んだり、失われたりしたら、価値は大きく下がる。それでも被災を知った全国の顧客からネットなどで「復活応援している」「エラヤさんがんばれ」とエールが続々。箱が無くても中身だけの販売を求める声が相次いでいる。

 8月から半日だが、なんとか営業再開にこぎつけ、水没商品の割引販売を始めた。猛暑の中、汚泥が残る店に足を運んでくれる常連客もいる。「ありがたい」と団迫店長は感謝するものの、9月からはいったん閉店作業に入る。その先のことはまだ考えられないという。

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