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SESで働いているけど、客先から直接指示を受けています。これって違法ですか?

8/8(水) 5:00配信

@IT

 2018年9月29日に「特定労働者派遣」が完全に廃止される(※)。一般労働者派遣と異なり、派遣元と労働者の間に無期雇用契約を結び、案件が発生したときだけ客先に派遣して作業をするという特定労働者派遣は、IT業界で広く活用されてきた。

偽装請負扱いされると困るから、俺が直接指示したことは黙っていてくれ(画像はイメージです)

 詳細な作業や成果物を契約時点では決め切れないアジャイル開発やITの保守、運用作業では、「わが社の技術者を、お客さまの指示で使ってください」という形態は、実際のところ便利で、ある意味合理的でもあったのだ。

 特定労働者派遣廃止後、この形態を便利に使ってきたITユーザー(発注者)とベンダー(受注者)が今まで通りに作業を行おうとして犯しそうな間違いが、「偽装請負」である。

 契約上は「請負」でありながら、実際には受注側メンバーが発注側担当者から直接指示を受ける、勤務時間や残業を管理される、契約外の作業もさせられるなどは、受注者側に「最大1年の懲役もしくは100万円の罰金」という刑事罰が適応される違法行為である。

 しかし、今まで通りの作業を契約書のお題目だけ変えて実施しようとする企業が発生する可能性は否めない。

 IT訴訟事例を例にとり、システム開発にまつわるトラブルの予防と対策法を解説する本連載、今回は少し趣旨を変えて、「請負」「派遣」「SES契約」の違い、そして「偽装請負」について考える。

契約は請負、実態は派遣

 2014年3月の国会で、以下の問題が取り上げられた。

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2014年3月26日 参議院消費者特別委員会 日本共産党大門紀史議員質問から

大手ITベンダー系コンサルティング会社の上級コンサルタントが、あるメガバンクのシステム開発プロジェクト(請負契約)に参加したところ、そこでは発注者であるメガバンクの担当者が、そこに常駐するコンサルタントや、他のITベンダーの作業者に直接作業指示を出していた他、勤務時間の管理も行っており、また、このコンサルタントに対しても、データ入力やコピー取りなど請負契約で定められた以外の作業が命じられた。

これについて、コンサルタントが、この作業の実態は請負ではなく派遣ではないかとメガバンクの担当者に疑問を呈したところ、コンサルタントはプロジェクトメンバーから外された。
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 この問題は既に、厚生労働者東京労働局から偽装請負であるとして派遣元のコンサルティング会社とメガバンクの両方に是正指示が出されている。

 実際のところ、こうした偽装請負はIT産業以外でも散見され、中には派遣元企業に業務停止命令が出たケース(※)などもある。

 このように各所で耳にする「偽装請負」だが、それが違法行為であることに当事者たちが気付いていない例も多い。少し古い話だが、かく申す私自身がそうだった。

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最終更新:8/8(水) 5:00
@IT