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チャーチル英首相が新兵器で復権もくろむ ソ連の伸張に対抗

8/9(木) 23:07配信

産経新聞

 英国のチャーチル首相が日本への原爆使用に最終同意したのは、第二次大戦の緒戦で苦しみ失墜した英国の権威を、開発に関与した史上初の新兵器使用で回復し、戦後、ソ連の勢力拡張に対抗しようと考えていたためだ。容認しなければ広島、長崎の悲劇を防げた可能性が高く、投下に対するチャーチルの前のめり姿勢は議論を呼びそうだ。

 英国立公文書館所蔵ファイル(PREM3/139/9)によると、チャーチルは、1945年7月16日にベルリンから外務省に、原爆完成の暁に日本投下を密約した「ハイドパーク協定」の写しを送るよう要請。同24日、協定の写しを基に原爆使用の是非についてトルーマン米大統領と協議した。

 バーンズ米国務長官の補佐、ウォルター・ブラウンの回顧録によると、原爆投下を躊躇(ちゅうちょ)するトルーマンに、「日本は警告なしに真珠湾を攻撃し、多くの米国の若者を殺した」と警告なしの投下を迫り、トルーマンは決断したという。

 チャーチルが原爆投下にこだわった背景には、ヤルタで対日参戦を密約したソ連が東欧、アジアで勢力を拡大することへの警戒があった。

 米英は、原爆投下を「狂信的に戦闘を続ける日本を無条件降伏させるため」と正当化してきた。しかし日本の外交電報を解読して日本がソ連に和平仲介を依頼して、終戦(降伏)の意志があることを確認しており、ソ連参戦で日本が降伏する前に史上初の原爆使用を最優先にしたことは明白だ。米陸軍戦略大学のマイケル・ナイバーグ教授は、著書『ポツダム』で、「原爆を英国の全ての戦略的失敗を解決する神からの授かり物と考えたチャーチルは原爆投下で英国が失った大国の権威を回復しようとした」と指摘している。(ロンドン 岡部伸)

最終更新:8/9(木) 23:35
産経新聞