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【転職バブルの正体】大企業からダダ漏れする“下積みレス”願望世代-20代でキャリアの地盤つくりたい

8/9(木) 11:01配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

「石の上にも3年」という発想は、今の若手社員にとって、過去のものになりつつあるのかもしれない。

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直近の有効求人倍率が44年ぶりの高水準を記録するなど、高度成長期以来ともいえる売り手市場だ。「成長できない」「同じ仕事の繰り返し」と感じた若手は、躊躇なく退社という道を選び、転職市場へ飛び出す。だが、取材を進めると、その理由は実は切実だ。

若手が下積みを嫌う“下積みレス社会”と、上司世代はどう向き合えばいいのか。

役員になってから子どもを産みたい

「早くマネージャーになりたいと考え、売り上げへの貢献度を数字で示して、自分で会社に交渉しました」

都内の新進気鋭のベンチャー企業で働く松本美波さん(仮名)は、入社1年未満の24歳にしてすでにマネージャー職に昇格。自分より年上の部下が複数いる。

美波さんの目標は「最年少役員になること」。その理由は明白だ。

「役員になってから、子どもを産みたいと考えています。その方が働き方の融通も効くし、短時間労働でも給与は下がりません」

平社員のまま出産し育休をとって時短勤務で復職すれば、手取りの給与は産前の半分程度という例も珍しくない。時短勤務が続けば、昇進もままならない。それは「かえって不自由」と感じる。

女性が出産や育児をしながら働き続けることは、ハードルが高い。だからこそ「険しい道を突破したい。この先、いつ辞めたくなるかわからないので、市場価値を高めておきたいのです」

仕事は好きだ。フラットで完全に実力主義の、ベンチャーの社風が水に合う。

「言われてやる仕事はゼロ。ずっとすごく面白い。寝る間も惜しんで働いてしまいます」

そんな美波さんは、新卒で入社した前職の小売業を9カ月で辞めている。

扱う商品が好きで、望んで入った業界。店舗での接客業も得意だった。仕事ぶりが評価され、昇進の打診も受けていたが、未練はなかった。

というのも、上司のプレッシャーや権限が強く、常にパワハラ気味。部下はとにかく従わざるを得ない。

子どもを育てながら柔軟に働くことを考えると、そうした日々を耐えて「下積み時代」を過ごす気にはなれなかった。

ゲーム系のIT系のベンチャー企業で働く石橋レナさん(仮名、23)は、大学は文系学部出身で、ITには特段興味があったわけではない。それでも今の会社を選んだ理由は「IT企業ならば成長が早い」と考えたからだ。

「仕事だけじゃなく、結婚も出産もしたい。それを考えると、30歳くらいまでには、ある程度の地位や実績を残してキャリアの地盤作りをしておきたい。そうすれば、育児を経ても復帰できると思います」

内定後の2017年夏から内定者アルバイトを始めた。2018年4月の入社からまだ半年たっていないが、すでに1人でプロダクトを担当している。

仮に日系の大手企業に入れば、地方への配属もあり得る。そうなると「本社に上がるまでに時間もかかるし昇進も順番待ちになる」(レナさん)。就活段階から、日系の大手企業への就職は選択肢になかった。

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