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「コチコチの愛国者ほど国をダメにする者はいない」半藤一利氏が若い世代に伝える

8/9(木) 12:10配信

BUSINESS INSIDER JAPAN

日本人310万人が犠牲になり、アジア諸国でも2000万人に上る死者を出した第二次世界大戦。軍国主義に突き進んだ日本が無残な敗北に直面してから、2018年8月で73年を迎えた。

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戦争体験者も高齢化し、戦災を克明に若者に語り継ぐことのできる人も減ってきている。

暴走する権力者、愛国主義を煽るメディア、熱狂する国民世論、そして、繰り返される戦争……。『日本のいちばん長い日』『ノモンハンの夏』などの著書で知られ、幕末・明治維新からの日本の近現代史に精通する半藤一利氏(88)は現在の国際状況が「満州事変前に似ている」と警告する。

80冊以上の自著から再構成した著書『歴史と戦争』は、昭和5年(1930年)生まれの半藤氏が生きてきた戦前、戦中、戦後の実体験をも描く「生きた歴史の教科書」だ。ベストセラーとなった「昭和史」シリーズも『世界史のなかの昭和史』で3部作を完結させた。

「なぜ日本は無謀な戦争に突き進んだのか」

著書に一貫して感じられる思いは、15歳で終戦を迎えた戦争への疑問だ。

私たちは歴史に何を学べばよいのか。過ちを繰り返さないために、若い世代は何を教訓とすればよいのか。半藤氏に話を聞いた。

高橋:『歴史と戦争』が約9万5000部になったと聞きました。これほどまでに読者が広がっている理由をどう感じられていますか?

半藤一利(以下、半藤):私は64歳まで文藝春秋に勤めておりました。だから根は編集者です。私の編集者感覚からすると、このような過去の著作の内容を細切れに1冊にまとめて出しても、たぶん売れないと思っていました。しかし、いざ手にすると、第一に読みやすい。そして、引用箇所の前後の文章がないから、読者がこの短い文章を読んで自分でいろいろと考えることができる。こういう本も意味があるのだなぁ、と改めて見直しました。

高橋:本の中に「コチコチの愛国者ほど国を害する者はいない」という半藤さんの印象的な言葉があります。この言葉を私がTwitterやFacebookで紹介したところ、若者を中心に拡散されました。

半藤:冷静に自分で考えるためには良い本だと思います。

ちなみに、その言葉はもともと勝海舟の言葉です。引用箇所の前後を語りますと、勝海舟は「周りは全部、敵の方がいい」と考えていました。そうした方がわかりやすく、あれこれ考えたり目を配ったりする必要がない。自分の目的とする方向にまっすぐに進める。また、自分の経験からしても、頑迷な愛国者こそがかえって国を滅ぼすと思ってきました。

高橋:本には「忠義の士というものがあって、国をつぶすのだ」という勝海舟の言葉が紹介されていますね。

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