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お産の現場で働き続けるつもりだった私が、当直勤務を手放し、開業した理由

8/9(木) 17:02配信

BuzzFeed Japan

東京医科大が女子と多浪男子の受験生の点数を減点し、合格者数を操作していた問題が発覚して1週間になります。

文部科学省が全国の国公私立医学部の試験について調査を指示するなど、影響は東京医大に止まらない社会問題に発展しています。

私は産婦人科医になって今年で18年目になります。今回の報道を受けて、あからさまな不正に驚きと怒りを感じました。

しかし、関東地方で私立の医学部出身の女性医師の友人たちに聞くと、予備校の進路指導では当たり前のように言われていることだそうです。

東京医科大には不合格だったものの、より高い学力が必要な大学の医学部に進学した女性医師は、あの時のモヤモヤがスッとしたと語っていました。

女子減点問題は、関西出身で国立大学しか受験しなかった私が知らなかっただけのようでした。
【寄稿:宋美玄・産婦人科医】

医学生の頃から感じていた女性を歓迎しない雰囲気

私の卒業した大阪大学は、女子生徒の割合は少ないものの年によって約1~3割の変動があり、おそらく不正操作はないと思います。

しかし、学生の頃から女性が歓迎されていないことは感じていました。

当時は今の臨床研修制度ではなかったため、直接大学の医局に入るのですが、各科の説明を聞いても、女性が働き続けるイメージを抱ける科は少なかったです。

私は父が消化器外科医だった影響で、外科医になりたかったのですが、外科の各教室に尋ねたところ、「女性の入局者がいたこともあったが、子供を産んでやめてしまった」との説明でした。

結局、女性医師の割合が多く、外科的手術もできる産婦人科を選びましたが、入局希望の女子同級生たちと当時の医局長に出産や育児との両立について尋ねた時には、はっきりした説明はもらえませんでした。

大野病院事件で問題となった産婦人科医の過重労働と医療崩壊

10年以上前、「福島県立大野病院事件」の頃から、産婦人科医の過重労働と医療崩壊が問題になりました。

大野病院事件とは、常勤医が一人という厳しい勤務体制で帝王切開手術をしたところ、避けられなかった大量出血で産婦が死亡し、医師が逮捕されたという事件です。

ギリギリの体制でお産を担っている全国の産婦人科医は衝撃を受け、産婦人科から離れたり、産婦人科を志望する学生が減ったりして、医療崩壊が進みました。

産科は当直という名の夜間勤務を誰かが担わなければ成立しない診療科です。

研修半ば、もしくは研修を終えて一人前になった女医たちが、出産や育児を経て当直回数を減らしたことは、他の医師の過重労働の原因の一端になりました。

しかし、当時、「立ち去り型サボタージュ」と呼ばれていた通り、多数の男性医師が他科に転科したり、医局人事を抜けて開業したり、実家に戻ったり、開業医に就職したりして、分娩を担う病院の当直要員から抜けて行った影響も非常に大きかったのです。

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最終更新:8/9(木) 17:02
BuzzFeed Japan

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