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『ららマジ』が大切にしている“キャラの生(なま)感”とは―シナリオ担当・西村悠&A-1 Pictures担当者インタビュー

8/10(金) 18:00配信

インサイド

A-1 Pictures&Wright Flyer Studiosがタッグを組んで贈る『ららマジ』。2018年7月で1.5周年を迎えた本作は、“音と魔法の学園RPG”と銘打たれたタイトルで、30種の楽器から編成される「器楽部」にチューナーとして入部した主人公が、器楽部員たちの“傷”と“救い”に触れ、彼女たちの“心を調律”していくという物語です(大雑把な説明ですが)。

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実は、筆者である私編集部すえながは、本作を配信当初からプレイしているチューナーの1人です。勘の良い読者はもしかしたらお気づきかもしれませんが。

そんなこんなで、「『ららマジ』ミュージアム」に行ったり、コミケに行ったり、「2017年最もハマったゲーム」に挙げたり、1周年記念召喚をしたり、「器楽部会議」に行ったり、GW企画に紛れ込ませたりと、いろいろやっていたのですが…今回、念願叶って、(1.5周年を記念した)インタビューまでこぎつけることができました!

インタビューに応えてくれたのは、メインストーリーを手がける西村悠氏と、立ち上げから本作に関わっているA-1 Picturesの蟹江寛之氏。『ららマジ』の成り立ちや、器楽部員やメインストーリーに対する“こだわり”を伺ってきました。ちなみに、Webのゲームメディアに『ららマジ』のインタビューが載るのは初めてとのこと。最後までお楽しみください。


――今日はよろしくお願いします。まず、お二人がどの様に『ららマジ』に関わられているのかを教えてください。

西村悠氏(以下、西村氏):『ららマジ』メインシナリオライターとして参加しています。ゲームの企画が走り始めた辺りで、A-1さんに声をかけていただきました。その時点ですぐにストーリーの基盤を作り、それをどんどんと発展させながらメインシナリオの執筆やゲーム内イベントシナリオの監修などを行っています。

蟹江寛之氏(以下、蟹江氏):弊社が新規事業としてゲーム方面のお仕事を探していた頃、ちょうどWright Flyer Studiosさんからお話をいただき、企画の立ち上げからリリースまでずっと携わっています。リリース後は、運営やイベント企画等はWright Flyer Studiosさんにおまかせしつつ、弊社ではメインシナリオとそのイベントスチル(メモリアルドレス)、絆ストーリーなどを制作したりしています。

――リリースからちょうど1年半ほど経ちましたが、ユーザーたちからの反応というのはいかがでしょうか?

西村氏:実はβ版のときからSNSなどでずっと反応を追いかけていて…(笑)。リリース後も温かく受け入れてもらえたので、ホッとした記憶があります。今でも、すごく褒めていただけていて、嬉しいですね。本当に感謝していますし、執筆の原動力にもなっています。

蟹江氏:メインストーリーは本当に評判が良いですよね。

西村氏:細心の注意を払いながら作っていますからね。でも、出す時は毎回本当に怖いです。これだけ自信満々で書いておいて、ダメだったらどうしよう…と(笑)。

蟹江氏:出した後に、ユーザーさんたちの反応を見て、本当に救われています。

――公式Twitterへのリプライなどを見ていると、ユーザーさんたちの暖かさを感じますね。

西村氏:Wright Flyer Studiosさんによる運営の誠実さもありますよね。メンテや不具合も少ないですし、もしあってもすぐに報告と改善がされるので。

蟹江氏:サポートセンターの対応も早いですよね。

西村氏:そうなんです!すぐに返ってきますね。すごいな、と。

――本作が“音と魔法の学園RPG”になったきっかけはあるのでしょうか。

蟹江氏:Wright Flyer Studiosさんからいただいた横スクロールアクションRPGの企画を拡げていったという形ですね。先方のプロデューサーさんが吹奏楽好きというのもあり、まずはじめに“吹奏楽・女の子”というのが出てきて、そこから「女の子をたくさん登場させる」「コラボも考えたいので、多重世界に」というように話が進んでいきました。他にも、「吹奏楽ってまだ未開拓だよね」「擬人化も流行ってるよね」みたいなお話もいただきましたね。

実は、『ららマジ』の企画が立ち上がったのは、いわゆるガラケー向けブラウザゲームからスマホ向けネイティブアプリへの転換期の頃で、最初に頂いたお話では、例えば「女の子が200人くらいいて、それぞれにレアリティの差がある」とかのセオリーは踏襲しつつも、弊社と組むのであれば「アニメ的な、ドラマチックなもの」を入れたいと相談されていたりもして。そういうたくさんのヒアリングや試行錯誤があり、最終的に、スマホ向けのネイティブアプリとして、今現在の『ららマジ』が出来あがったという感じです。

――その様々な試行錯誤の中、西村さんをメインシナリオライターに起用したのはなぜでしょうか。個人的には乙女ゲームの印象が強いので、意外な人選だなと思っていました。

西村氏:それは僕も聞きたいですね。

蟹江氏:いくつか理由はありますね。まず、Wright Flyer Studiosのプロデューサーからのオーダーとして「ストーリーをしっかり語れるものにしてほしい」というのがあったんです。でも、とにかく要素が多いですし、もちろん仕様上の制限との兼ね合いもあるので、これはちゃんと考えて作らないと厳しいなと。また、『ららマジ』は主に男性向けですが、女性にも好きになってもらえる作品にしたくて。それなら、乙女ゲームに携わっている方はどうだろうとも考えていました。ちなみに、「女性にも~」というのは、飯塚さん(※)にキャラクターデザインをお願いした理由にもつながります。僕は絵描きではないので、あくまで印象の話になってしまうのですが、飯塚さんのイラストって清潔感があって、女性も共感できる“女の子のかわいさ”がつまっていると思いまして。

(※編集部注:『ららマジ』キャラクターデザイン・飯塚晴子氏)

そんな中ちょうど、本当に偶然なんですけど、西村さんが上梓された「乙女ゲームシナリオの作りかた」というシナリオ教本を拝読したんです。その中で、すごく論理的にお話を繋いでいるのをみて、「これは相談できるぞ!」と(笑)。前述の通り、“音と魔法の学園RPG”になるまでいろいろあったので、要素がかなり多いのですが、西村さんならまとめてくださるのではないかと思ったんです。また、西村さんの小説も“心”に迫る物が多く、『ららマジ』のストーリーに似ているものを感じましたね。そこで、西村さんに相談したら、ちょうどお仕事に一区切りつくところとのことでしたので、お願いしたという形になります。巡り合わせですね。

西村氏:それから4~5年くらい『ららマジ』ばっかり書いてますね(笑)。

――構想からかなり時間をかけて出来上がっているんですね。

蟹江氏:おそらく業界的にもそうだったんだと思いますが、先ほどもあった通りブラウザからネイティブへの転換期の中で、本当にいろいろなことがありました。ある意味ドラマチックではあります(笑)。

――西村さんは最初にオーダーを受けた時にどう感じましたか?

西村氏:盛りだくさんだなと。最初に企画書を見た時は、「音楽系の部活で~」とあったので音ゲーかとも思ったのですが、読み進めていくと「戦う」と書いてあって驚きましたね。これは一回直接聞かないとダメだなと思って色々とお話を伺いまして。そこで、“女の子の心に迫る物語”という枠組みになっているのを理解できたので、それなら書いていけるなと思ったんです。先程もありましたが、僕は「好きなものを書いてくれ」と言われると、“夢”とか“心”などのお話を書きがちなんです(笑)。なので、「心の中に入っていく」というお話は相性がよさそうだなと感じたのを覚えていますね。

――その盛りだくさんな『ららマジ』ですが、メインキャラとして31人+1匹がいて、一人一人に細かいプロフィールが設定されていますね。こういった部分は西村さんが考えられているのですか?

西村氏:A-1さんがメインで設定されて、僕はストーリーを執筆しながら広げていきました。特に、菜々美や紗彩、結菜といった序盤に登場するキャラについては、それこそ、A子ちゃんB子ちゃんといったように、名前も決まっていない頃からストーリーを考え、キャラ性を固めていきましたね。菜々美の天才設定、紗彩の努力家設定もストーリーを考える上で生まれてきました。

――菜々美(第1幕)と紗彩(第2幕)のストーリーはある意味“対”になっていて印象深く、また「『ららマジ』とはどういうゲームなのか」を象徴するお話になっていますよね。

西村氏:そうなんです。菜々美と紗彩、結菜(第5幕)のストーリーをセットとして最初に作ったのですが、まず「世界観」を見せながらも、それだけでは終わらない第1幕を見せよう、という話になったんです。でも、そうすると、1幕だけじゃストーリーを全て見せきれないんですよね。なので、第1幕と第2幕を対にして、ここでストーリーをしっかりと見つつも、複雑な世界観を説明するという形にしました。

結菜のストーリーに関しては、菜々美・紗彩の後にビックリさせるようなものを見せるというのを考えていました。また、作品の背景にある設定を少し見せることで全体のストーリーを想像してもらったり、世界観の奥深さに触れていただこうという狙いもあります。。ちなみに、上記の3人のストーリーについては、お話を伺ったその場で盛り上がり、2時間くらいで大枠を固めることができました。

蟹江氏:第1幕、第2幕についてはかなり計算して作られているので、本当にうまくハマってくれたなと思っています。

西村氏:個人的にも、努力・才能というテーマは興味深く感じていて、全体としては紗彩のストーリーにつながるように作った感じはありますね。

――リリース後は、結菜のストーリーはシーズン1のシメとなる第5幕になりましたね。間にひかり先輩(第3幕)とかなえ(第4幕)を入れたのはなぜでしょう。

西村氏:菜々美、紗彩、結菜とそのまま続けると、重い話ばかりになってしまうので、比較的コミカルなひかりとかなえのストーリーを入れました。『ららマジ』にはこういう一面もあるよ、と見せたかったのもありますね。

蟹江氏:ここはいろいろと変更がありましたね。

西村氏:そうですね。ひかりとかなえのストーリーとなった第3幕・第4幕の枠って、最初は菜々美と紗彩のサブストーリーに使われる予定だったんですよ。でも途中から、全キャラ平等に扱って、彼女たちがちゃんと愛されるようにしようという方針に変わったので、その枠を使ってひかりとかなえのストーリーが作られました。

蟹江氏:ひかりとかなえは、アプリでは1場構成じゃないですか。でも、実は菜々美・紗彩と同じくらいのボリュームがあったんですよ。しかしそれだと、物量が多くなりすぎてしまうので、泣く泣くカットしています。

西村氏:菜々美・紗彩・結菜のストーリーも、最初は今の3倍くらいありましたね。さすがにそれだと「長過ぎる!」と言われてしまって(笑)。

――それは、いつか見てみたいですね…。

蟹江氏:僕は飯塚さんの絵がとても好きなんですが、『ららマジ』以外にも、“かわいい女の子キャラ”は世の中にいっぱいいて、人々に愛されてますよね。それこそ飯塚さんデザインのキャラも。そんな中で、例えば人気の絵師さんを集めれば最強のスマホゲームが作れるかと言ったらそういうわけでもないと思うんです。じゃあどうしたら『ららマジ』のキャラたちも愛してもらえるのだろうかと考えてみると、バックボーンを説明するしかないんじゃないかなと思ったんです。それで『ららマジ』では西村さんにシナリオをお願いして、“読んでさえもらえば好きになってもらえる”というところまでは持っていけたかと思います。

でも、今度は「スマホゲームのシナリオを誰が深く読むのか。スキップしちゃうんじゃ」という問題が出てきたり、「こういう理由でこのキャラはツンデレです」とすると、どうしても文章量が多くなってしまって…。それを少しでも減らすために「バトル中のセリフ」や「Live2Dアニメーション」を入れました。これでとりあえずシーズン1の結菜まで遊んでもらって、『ららマジ』の魅力を感じてもらえれば、シーズン2も遊んでくれるかな…と考えて作っています。なので、シーズン1のストーリーは比較的読みやすくなっているかなと思いますし、対してシーズン2以降は物量が増えています。

西村氏:シーズン2からはタガが外れました。外れすぎてシーズン3で少し戻したりしています(笑)。

蟹江氏:よく、「ひかりのストーリーがあっさりしてる」というお声も頂くのですが、実は上記のような背景があって、ひかりとかなえに関してはかなり読みやすく編集していたりします。ユーザーさんに『ららマジ』の世界に違和感なく入ってもらえるように、シーズン1は、本作の基本系である「ヒロインの心に潜って救いを見つける話」(菜々美)、同じエピソードに別のヒロインの視点が加わり「ヒロイン達の関係の中から救いを見つける話」(紗彩)、他人から見て些細な傷ながら成長とともに克服した「エピソードや救いの重さに関係なく、傷はヒロインの致命傷になりえるという話」(ひかり、かなえ)、そして最後に、この世界の謎と相棒への疑惑で揺さぶり「改めて主人公を音楽と魔法の冒険へと送り出す話」(結菜)という構成になっているのですが、当時は反応を見ながら本当に恐る恐る制作していたので、少し削りすぎてしまった感はありますね。今であればもうすこしうまくできたのかもしれません。

――ひかりとかなえのストーリーで、器楽部全員が重い傷を抱えているのではなく、年相応の、些細な傷を持っている娘もいる。というのを理解できた気がします。

西村氏:彼女たちのおかげで、『ららマジ』における「傷」ってこういうものだよね、とシーズン1で伝えられたかと思います。

蟹江氏:ゲーム内では一切使っていない表現なのですが、書いているとどうしても「トラウマ」寄りの重たい話になってしまう傾向があって。でも、30人全員がそんな重たい傷を持っていたら、とんでもない集団になってしまいますし、『ららマジ』という作品全体が暗くなってしまう。そういう風にはしたくなかったんです。

あと、人の心の中で戦う話なので、初期の頃にはバトル時でも過激な表現とか言葉遣いをしないように作っていました。第5幕までは、『ららマジ』のプレゼンテーションをユーザーさんやWright Flyer Studiosさんたちへしている、というような意識がありましたね。


西村氏:同時に、シーズン1を作る中で、自分たちの中でも『ららマジ』はこういうゲームなんだという共通認識を持てるようになったとは思います。それまでは本当に探り探りやってましたね。「20タップ、40タップで話が終わる」と言われて、どういうことなんだろうと(笑)。物量的に無理だと思ったので、ダメだったら全部書き直すくらいの気持ちで長大な話を書いたのですが「これで行きましょう!」といってもらえました。すごくありがたかったですね。そこから、第1幕・第2幕くらいのボリュームに収めていきました。

――気になっているのですが、器楽部の“顧問”っているのでしょうか。ある意味、百花先輩がその位置にいるとは思うのですが。

西村氏:最初に作ったストーリーには顧問はいたんです。その時に、これは“生徒の話”なので、露出は辞めましょうという話になったのを覚えています。

蟹江氏:先程もありましたが、リリース初期はストーリーを読んでもらいたかったので、余分なキャラやセリフは削りに削っているんです。それこそ、ホニャのセリフですら。その中で、(顧問としての役割は)百花に統合されていった形になります。リアルに考えればいるとは思うのですが。

――シーズン2以降のストーリーはどのように作られているのでしょう?

西村氏:シーズン2は“広がりをもたせる”というテーマが最初にありました。シーズン1では個人に焦点を合わせていましたが、今度は器楽部という集団を見てみようと。さくら(第6幕)から始まり、次に凜(第7幕)が来て…と人間関係が広がっていくように作られています。シーズン1が『ららマジ』の基礎編だとすれば、シーズン2は応用編ですね。こんなこともできますよ、と。夢世界の話も派手になっていると思います。

それから、シーズン2の春香(第10幕)から器楽部というものを直接描くようにしています。そして、亜里砂(第11幕)で器楽部の活動というのを夢世界でテーマとして扱い、チューナーたちの目指している“器楽部の復活”はきっとこうなるのだろう、というのをお見せしました。「さぁ、ここからは器楽部みんなで頑張ろう!」というところでシーズン2が終わり、シーズン3からは部活として動いていく形になっています。

――亜里砂先輩の第11幕、めちゃくちゃ良かったです…。

西村氏:ありがとうございます。でもすごく大変でした(笑)。エリートの音楽家ってなにをどんなふうに考えているんだろう、と悩みながら書いていましたから…。

蟹江氏:特に日本に思い入れがあるわけではない、自分のアイデンティティーを大切に思っているキャラですよね。あえて一般的な外国人キャラからはずして、異文化交流みたいなストーリーにしたかったんです。

西村氏:そうですね。なので、“不思議の国・日本に迷い込んだ亜里砂”で「不思議の国のアリス」をモチーフにして、彼女はなぜ日本にいるんだろうというところから深掘りしていきました。

蟹江氏:自分の居場所に誇りを持っているのに、なぜ器楽部にいるんだろう、というのを書けてよかったですね。個人的にもシーズン2のシメにピッタリだったと思ってます。

――それぞれの幕で、産みの苦しみ的なものはやはりあるのでしょうか。

西村氏:それはもう、全部ありますね(笑)。だんだん苦しくなっている気もします。第12幕まで来て、よくこんなにたくさん「傷」があるもんだなと思っています。でも、まだ1/3なんですよね(笑)。

――この後の調律順や、それぞれの「傷」ももう決まっているんですか?

西村氏:最初の時点で最後までの青写真というのは決めています。ただ、予定なので、実際の順番はユーザーさんのリアクションなどで変わってくるかも知れません。

蟹江氏:それぞれの「傷」もある程度決めてはいますが、リアルに描いているせいか、毎回ストーリーを作る上でキャラに対する発見が出てくるんです。もちろん、記号としての属性はみんな決まっているのですが、ストーリーを作りながらそこを掘り下げていくと、「この娘はこういう性格だから、こんな事言わないな」というのが出てきたりして、だんだんとドツボにはまっていくんです(笑)。

例えば亜里砂だと、“金髪・毒舌・外国人”、というのを見せれば良いのかもしれませんが、やっぱりキャラをもっと深く愛してほしくて、いろいろ考えるんですね。そうすると、妄想が広がりすぎてしまって(笑)。だんだん収集がつかなくなって、漠然と「亜里砂幸せになってほしい」とか思い始めます。他にも“紗彩はプロになれるのか論争”みたいなのもありました。

西村氏:ありましたね(笑)。僕は「プロにはなれないけど、街の音楽教室の先生」になるんじゃないかと思っています。

蟹江氏:僕は、プロとしてデビューしてもいいんじゃないかと思ってます。未だに決着ついてませんよね。こんな感じで、毎回いろいろなことを話しながら進めています。

西村氏:『ららマジ』の作り方は、“こうしたい”ではなく“こうあるべき”なんです。全体の流れをみた時に、必然的にこうなるよね、というのを意識しています。後ろ向きな話ではなく“こうあるべき”の中に“こうしたい”を探していくというか。よく、「幸の後は真中華の話」と言われるのですが、幸の次が智美なのは、それが必然だからなんです。

蟹江氏:「推しキャラが中々出てこない!」みたいなこともあるので、悩ましいところではあるのですが(笑)。スマホゲームのセオリーで言えば、本当はユーザーさんに「次、誰が見たい?」とかアンケートをとったりしたほうが良いのかも知れませんが、この作り方だからこそ『ららマジ』は愛していただけているのだと思っています。

――先程挙がった「不思議の国のアリス」の他にも、「学園天国」や「マランドリーノ」など、各幕の夢世界にはモチーフがありますが、これはどの様に決められているんですか?

西村氏:いろいろな角度からこれは決めていますね。例えば第1幕の場合、物語の要件として、いきなり夢世界でファンタジーな感じにしてしまうと、ユーザーさんが驚いて入りづらくなってしまうかなと思っていたんです。なので、まずは現実世界の延長のような夢世界から、だんだんおかしくなっていくようにしています。菜々美で言えば、心の深いところに行くたびに、バラが増えていって、最後はバラのディスコードが出てくるような。

蟹江氏:菜々美は「いばら姫」で“囚われた女の子を助ける”という非常にわかりやすいモチーフになっていましたね。他にも、打算的な話にはなってしまいますが、ストーリーを読んでもらえない場合というのも考えているので、なんとなく物語を想像できるようなモチーフを選んでいたりもします。

西村氏:もちろん、キャラに合ったモチーフかつ、マンネリ感が出ないように、というのもあります。幸の場合だと、ウクレレから「カノホナピリカイ(涙そうそう)」が出てきて、これは傷と合いそうだな、とか。

――ちなみに、先程産みの苦しみをお聞きしましたが、お気に入りのストーリーなどはありますか?

西村氏:毎回血を吐く思いで書いているので、どの話にも思い入れはあって。うーん…(笑)。

蟹江氏:逆に、世に出すのが恐かったストーリーとか。

西村氏:凜のストーリーは(受け入れられるか)すごく恐かったですね。凜、萌(第8幕)、蒼(第9幕)は、「ボリュームや開発コストを気にせず自由に書いてみてください」と言われて、本当に書きたいように書いたストーリーなんです。凜はそのトップバッターだったので。もちろん『ららマジ』全体の流れとか作品性を考えて書いてはいるのですが、心配でした。

――確かに、その3人はかなりフリーダムだった気がします(笑)。蒼先輩とかもすごかったですよね。いろいろな意味で。

西村氏:あれははっちゃけすぎてしまいました(笑)。僕は「2001年宇宙の旅」という映画で“主人公が人間から離れて行く”ということに孤独を感じたんです。蒼も自覚はないのですが、同じような孤独を抱えています。でも、映画とは違って、ラストはちゃんと器楽部に落ち着く。そういうお話にしたいなと思っていました。パロディはおまけです(笑)。

――蒼先輩のストーリーは、他とは毛色が違って印象的です。でも、菜々美の「ヴォン!」の印象が強くて(笑)。

西村氏:あれはネタとしてただ言わせたかっただけです(笑)。ちょっとでも笑ってもらえれば嬉しいなと思ったくらいで、深い意味はないのですが、思っていた以上に反響があって驚きました。

――シーズン3ではバンド組(フロウライン)の調律を進めていくことになるのですが、ざっくりどのような感じになるのでしょう。

西村氏:シーズン2などで仄めかされていた“物語の裏側にあるもの”がちょっとずつ出てくる…かも?乞うご期待ください。

蟹江氏:『ららマジ』にはチューナーを主人公とした2つの物語がありますからね。そろそろもう一つの方を見せていくことになるかも知れません。

――「RPG」と聞くとスケールの大きなものを想像しがちですが、『ららマジ』の女の子たちの傷っていい意味でスケールが小さく、等身大で共感しやすいものばかりで、それが魅力だとも思っています。なぜ、このような形になったのでしょうか。

蟹江氏:Wright Flyer Studiosさんたちとどのようなゲームにするか詰めていった時に、いろいろなタイトルを研究していたのですが、同じことをやってもサブゲームにすらしてもらえないと思っていました。なので、RPGの定番から外しつつも、ユーザーさんが共感しやすいようにしたんです。一番好きなのは定番タイトルだけど、実は『ららマジ』もやってます、という立ち位置につけないかなと。とはいえ、継続して遊んでもらうには、ドレスを鍛えて挑む強大な敵たちも必要なので、ストーリー上でも第5幕のようにそういう敵を出したり…ということもしています。

西村氏:僕は最初にお話を伺った時に、このゲームは今まで書いてきた乙女ゲームと同じ様に“キャラの個別ルート”を書いて、キャラを攻略するというイメージで書いていけば良いのかなと感じていました。そうなると、キャラを好きになってもらう・理解してもらうというのが必要なので、「傷」はそのキャラに共感できる何かであるべきだと考えています。その共感をトリガーとしてキャラに感情移入してもらい、一緒に傷を乗り越えていったり、ともすれば昔の自分自身を昇華してもらえればと思っています。『ららマジ』のメインストーリーは“キャラの過去”を見ていく話です。過去の傷をキャラと一緒に乗り越えた時に、そのキャラがユーザーにとって“特別な存在”になる。それを意識して作っています。

『ららマジ』では、キャラの“生(なま)感”をとても大事にしています。ストーリーを読んだ後に、「もしかしたら街を歩いているかもしれない」と思えるような。“記号の集合体”ではなく、ちゃんと“生きている人”として認識できるようにしないと、キャラゲーにおけるストーリーって存在する意味がなくなってしまうと考えています。ストーリーが出来上がるまでは記号の集合体なのですが、その記号がなぜそうなっているのかとか、そこに人間味・リアルさをつけていくのが僕の仕事です。なので、先程「ドツボにはまる」というのがありましたが、それはしてやったりとも思っています。後々、「やりすぎです」と言われて戻すこともありますが(笑)。

――確かに、『ららマジ』のキャラは現実にいそうですし、いてほしいなとも思っています。

西村氏:キャラとしての強さ・売りというのもあると思うのですが、そこを特化させるよりも、リアル感を大切にしてます。嫌なところもちゃんと出していきますし、それでも愛されるキャラというのを目指しています。

――嫌なところも出しているのに、31人+1匹の内、嫌いなキャラって1人もいないんですよね。

西村氏:そう言ってもらえると嬉しいですね。細心の注意を払って作っているので(笑)。ただ、“今の段階では嫌われていてもいい”、というキャラはいます。そこが逆にリアル感を出すのに一役買っている部分もあると思います。そして、メインストーリーを見るとそれが“好き”に変わるようにできればと思いながら書いていますね。

蟹江氏:そこの安心感みたいなものも含めてユーザーさんたちには受け入れてもらえたのかなと。これも『ららマジ』のストーリーを作っていく中での発見だったのですが、生々しさが増していくと、「このキャラとこのキャラは話が合わなさそう」とかが無視できなくなってくるんです。例えば、第10幕の凜と蒼とか。キャラ設定だけでは見えてこない“微妙な関係”といいますか、そういうネガティブな感情も含めて最終的にハッピーエンドを迎える、というような雰囲気も理解してもらえたんじゃないかと思っていますね。こちらとしても、下手に媚びたキャラにしなくてよかったなと。「私達みんな仲良し!」というのを避けたというわけではありませんが、うまくそこを外せたかなと思いました。

葉月や亜里砂とかも最初は結構怖かったんですよ。アニメなら、キャラ同士喧嘩しても翌週で仲直り回をやって…とできるのですが、ゲームだとそういうわけにも行かないじゃないですか。切られてしまったら挽回の余地が無いんです。でも、「嫌な女!」といいつつも遊んでくれているユーザーさんもたくさんいるので、今はすごく安心しています。いつかくるメインストーリーを楽しみにしながら遊んでくれてるんだな、と。

――イベントの葉月とかかわいかったですよね…。

西村氏:若干、やりすぎたかなとは思っています(笑)。

蟹江氏:生々しくなればなるほど、一線を超えてしまった時は即切られてしまうので、そこは超えないように気をつけています。

西村氏:葉月に関して言うと、「器楽部内で仲違いしてる人がいるんじゃないか」という話になったことがあって。それを是とするかどうかと言うのを受けて、「一回やってみたい」と言ったことはありましたね。すごく複雑なキャラなので、メインストーリーでいろいろと見えてくると思います。

――イベントは監修されていたり、ご自身で書くこともあると思うのですが、例えば誕生日やバレンタインなどのストーリーも見られてはいるんですか?

西村氏:基本的には見ていますね。

蟹江氏:書いているのはWright Flyer Studiosさんの運営チームですが、西村さんもストーリーのコンセプトから見ていますよね。

西村氏:はい。毎週ライターチームの皆さんと打ち合わせをさせていただき、制限の中で、ユーザーさんに楽しんでいただけるストーリーになるよう、お手伝いさせてもらっています。

――イベント系で印象に残っているものはありますか?

西村氏:先程も少しお話に出ましたが、昨年8月に配信された「葉月の願い事」ですかね。原案をやらせていただいたのですが、葉月の深いところを見せられたと思いますし、調律済みのキャラと未調律のキャラの関係性にも触れることができました。ユーザーさんからの反応もよく、ライターさんが喜んでいましたね。

蟹江氏:プロット一歩手前くらいまでは書かれていましたよね。

西村氏:昨年の夏から秋にかけては、イベントの原案はかなりやっていた気がしますね。「デート・サバイブ」とか「女子会フォルティッシモ」とかもそうですね。

――調律済キャラと未調律キャラの絡みは気を遣いそうですね…。

西村氏:そうですね…。調律済/未調律の間に、摩擦は絶対あると思うんです。『ららマジ』という作品の世界観をイベントで壊すわけには行かないので、イベントの監修をする時はとても慎重に見ています。

――ここまで12人を調律してきた中で、意外なキャラ同士の絡みなどもあったと思います。どの幕にどのキャラを出すかというのは決めていたりするんですか?

西村氏:大体のところは実制作よりかなり前に決めています。人間関係は初期の段階で決めていました。A-1さんにキャラの関係性を作ってもらいながら、それに基づいて僕の方で「このキャラとこのキャラはこういう会話をする」というような会話集を作っていたりしました。それを見つつ、キャラの露出も考えながら決めています。

蟹江氏:ちなみに、「チューナーズノート(※)」の第1集にキャラの相関図が載っているのですが、これはかなりシンプルにまとめて頂いたもので、実際にはもっと複雑なものを用意しています。(つながりを表す)線が多すぎて、とんでもないことになっています(笑)。構想段階が長いので、キャラの設定は本当に細かく作られていますね。チューナーズノートやゲーム内のプロフィールもかなり抜粋したものなんです。

(※編集部注:『ららマジ』オフィシャルキャラクター資料集。現在までに第2集までを刊行。)

――一人一人お話を聞いていきたいですね…。特に翼の設定とか気になります!

西村氏:翼は皆さん気になっていますよね。どう書かれていくか、いろいろ空想していただけると!答え合わせはいずれできるようになるのでご期待ください。

――例えば菜々美と紗彩のように、対になっているキャラっているんですか?

蟹江氏:凜・春香は対になっているかなと。姉キャラ、妹キャラという様な感じで。もちろん、他の側面もありますが。それと、ひかり・茜もある意味対になっています。高身長・低身長というのもありますし、ひかりが茜の大ファンだったりします。

西村氏:対になっているという意味でいうと、葉月と梨花はそうなっていくと思います。他には、梨花とアミとかもですね。あと、橘姉妹(アンナ・レイナ)の双子設定は重要な関係性になっていくかと。この双子はお互いに対していろいろなことを考えています。

蟹江氏:葉月と梨花って普通は相容れなさそうな感じがあると思うんです。でも、絆ストーリー(Lv13)とかではとても仲良く描かれています。なぜ2人がそうなったのか、というのは今後どこかで描かれると思うので、楽しみにしていてほしいですね。

それと、“生感”を大事にしているので、ユーザーさんが想像しているものとあまり相違はないかなと思うんです。ひかりだったら高身長をコンプレックスに感じているので、小さい子に憧れを持つだろうな、とか。対して茜だったら背の高い大人っぽい女性に憧れているのかな、とか。

西村氏:今、ユーザーさんたちが「この2人は仲が良い/悪いだろう」って想像している組み合わせってあると思うのですが、そういう想像をしてもらえるように、こちらも意図してストーリーを作っているところもあります。その組み合わせから、いろいろなことを考えてもらえると、楽しいかも知れません。

――担当楽器を決めるのも大変だったのでは?

蟹江氏:そうですね。オーダーで奇抜な楽器も入れて欲しいというのがありつつ、それじゃあまりにもまとまらないから定番も入れないと、というような悩みはありましたね。

西村氏:兼任楽器の設定にその辺りの苦悩が表れていますね(笑)。

蟹江氏:その中で、この娘はこういうメインストーリーになるから、この楽器を持っていてほしい、というのはありましたね。例えば、菜々美のフルートや亜里砂のトランペットとか。それぞれのキャラの、アイデンティティ確立まで踏み込めたので、そこは良かったなと思います。さすがに60人いたら厳しかったですが(笑)。

ちなみに、「未来Symphony(※)」にも、歌っているキャラの担当楽器が入っていたりします。一応、30人分の楽器を入れる事もできるのですが、そうすると(音が多すぎて)歌えなくなるので(笑)。

(※編集部注:『ららマジ』オープニングテーマ)

――これは個人的な感想かもしれないのですが、『ららマジ』ってすごくプラトニックというか、清廉で清潔感のあるゲームだなと思っています。飯塚さんのイラスト含め、この辺りは意識されているんですか?

西村氏:キャラの記号だけではなく、内面も含めて愛してほしい、という流れはあったかと思います。この1年半を振り返ってみると。

蟹江氏:清潔感という意味では、ゲーム全体としてみた時にそう思ってもらえるようにする、というのはありましたね。ただ、極端に肌色を避けているつもりはなくて、やるのであれば、そこに“理由”が欲しいと考えています。例えば、アイドルが水着になるのって、それは普通にありえることですし、仕事という理由もある。でも、普通の中学生・高校生がなんで水着になるの?と言われると、ちょっとアイデアが必要かなと思うんです。ユーザーさんたちも、紳士的な目で彼女たちを見てくれていると思うので、なんの理由もなく突然過激な衣装になられても驚いてしまうんじゃないかと。

西村氏:雑誌の水着グラビアを見るというよりかは、クラスメイトの女子の水着を見るっていう感覚になりそうですよね。

蟹江氏:ユーザーさんたちが喜んでくれるのはわかっているのですが、なかなか理由をつけられなくて…。でも、昨年の浴衣もかわいかったですよね?

――レイナ先輩、梨花先輩、凜先輩、翼…みんな浴衣かわいかったです。コミケにうちわを貰いにいきましたよ。

西村氏:ちなみに、すえながさんの好きなキャラってどの娘ですか?

――さくら先輩です!コミケで買ったポストカードをデスクに飾って毎日眺めてます。

西村氏:逆インタビューみたいになってしまいますが、どのあたりが好きなんですか?

――さくら先輩は(長くなるので割愛)というのがあって、大好きなんです。

西村氏:語りますね(笑)。良い上司・先輩感がありますよね、さくらは。優秀なんだけど、振り回された挙げ句、結局いいように利用されてしまう。そこにかわいさがあると思います。

蟹江氏:押しに弱そうですよね(笑)。チューナーがイケメンムーブするとすぐ動揺してしまって。

――『ららマジ』は制服もかわいいですよね。5月の「東奏マーチングパレード」では色違いバージョンもでました。

蟹江氏:制服は“音楽をやっている”というのが伝わるようにというオーダーのもと作られていますね。フードが付いているのですが、あれは当時、飯塚さんが発案したものです。それと、ハイウエストになっているのも特徴なのですが、アニメではあまりやらないんですよね。今風でとてもかわいいのですが、スカートが腰の位置から出ていないので、動きをつけようと思うときれいに見せるのが難しいんです。今回はスマホゲームということで、飯塚さんのデザインをかなり近い形で出せるということもあり、かわいさにこだわりました。スカートの縦ラインも、アニメでやると大変そうですね。

マーチングバンドの服は(制服の)ボツ案と言われることもあったのですが、純粋にマーチングバンドの時に使おうと思ってとっておいた色ですね。ちなみに、余談ですが東奏学園は“公立”なんです。SNSなどでは良く私立といわれるのですが、公立と考えると腑に落ちることもあるかと思います(笑)。

――体操服もかわいいですよね。

蟹江氏:一般的な学生ジャージって、大体ダサい気がするのですが、そのダサいジャージを着ている女の子ってすごくかわいいですよね。冬のジャージ姿も、着こなしはこうなるだろうというのを全員分設定を用意しています。

――私服姿も、これだけバリエーションがあるとかなり大変そうですね。

蟹江氏:ドレス制作はスピード感が重要なので、Wright Flyer Studiosさんの運営チームにおまかせしつつ、こちらからは「こういうブランド、ファッション誌が好き」「買っているのはこういう服屋」というイメージをお伝えしています。

――蒼先輩とかすごく奇抜ですよね。

西村氏:僕もいちユーザーとして、いつもすごい服着てるな、と思っています(笑)。

蟹江氏:菜々美とかも「きっとダサいんだろうな」という話が初期にはあったりしました(笑)。頑張ってオシャレにコーディネートしたのに、最後に何も考えずネコのポシェットをかけてしまったりするような。

西村氏:私服だと、個人的には悠花がすごくオシャレだなと。

――悠花先輩はオシャレに気を遣っているイメージはありますね。個性的な器楽部員の中で“普通”なことに悩む女の子と「チューナーズノート」にはありましたが、あの半纏もその結果なのでしょうか。

西村氏:よく見てくださっていますね。まさにその通りです。なのですが…あれは半纏ではなくてカーディガンです!よく半纏と言われるのですが(笑)。

蟹江氏:色のせいですかね(笑)?飯塚さんのデザインを元に、深掘りしていったキャラもかなり多いですね。打ち合わせしながら、乃愛は「背は低いけど発育が遅れているわけじゃない」という話が出てきたり、紗彩は「明らかにツンデレ」ですよね、といった話がでてきて。学年の割り振りとかもデザインから影響を受けていたりします。

――魔法少女服もいいですよね。これも飯塚さんがデザインされているんですか?

蟹江氏:実は、飯塚さんではないんです。それぞれ楽器別に、いろいろな方がデザインされています。Wright Flyer Studiosさんからのオーダーの中に“楽器の擬人化”のような話もあったので、そこに引っ張られている部分でもあったりします。

今では若干分かりづらいのですが、魔法少女服のデザインは武器種(片手剣、杖、魔法など)によってある程度カテゴライズされているんです。あくまでシルエットで見たときの話ですが。例えば、菜々美・アンナ・雪菜・幸の片手剣組を見てみると、腰から下がどれも動いた時にはためくデザインになっていたり、紗彩・ひかり・翼・さくらの弓組は、ミニスカがひらひらするようなデザインになっていたりと、共通点をもたせています。アミ・かなえ・麻衣とかもわかりやすいですね。これらが30人に均等に近い形で割り振られています。これは、初期段階でキャラのモーションを武器種ごとに兼用にする予定があったからですね。今では、ありがたいことに全員個別のモーションになっていますが。

西村氏:言われてみると確かにそうですね!初めて知りました…。

――西村さんは飯塚さんのイラストを見た時に、感じたことなどはありましたか?

西村氏:一番印象に残っているのが、ティザーのビジュアルですね。『ららマジ』の要素が全部入っていて、ひと目で世界観がわかるようになっているんです。本当に感動しましたね。このイラストを見て、『ららマジ』に関われるのは幸せだと思いましたし、イラストに負けないお話を作ろうと決意を固められました。

あとは、「チューナーズノート」の表紙も良いですよね。打ち合わせのときにこれを見て、そのクオリティの高さにみんなでため息をついていた記憶があります(笑)。人数的にはもう2冊分あるんですよね。そこまで出せるように頑張りたいと思います。

――インタビューも残り時間僅かになってきました。この後に公開が控えている「第13幕」ですが、どのようなストーリーになるのか、ちょっとだけお話いただけませんか?(※インタビューは第13幕公開前に実施)

西村氏:「チェインギャング」というタイトルからいろいろと空想を拡げていただけると!萌のメインストーリーにちょっと近いかも知れませんね。はっちゃけるけど、最後はきれいにまとまるような。

蟹江氏:一番さわやかかも知れませんね。

西村氏:選択肢でいろいろと遊んでいる部分があるので、そこも見ていただければと。

蟹江氏:シーズン3はバンド組という共通点の他にも、根底には“とあるテーマ”があります。幕が進むごとにそれが明らかになって行くので、楽しみにしていただけると。

――長時間のインタビューありがとうございました。それでは最後に、月並みですがユーザーへメッセージをお願いします。

西村氏:愛していただいているのは本当に嬉しいですし、それを裏切らないように書いていきたいですね。メインストーリーを見た後に、そのキャラをもっと好きになれるように書いていくのが僕の仕事だと思っています。仮に今、あまり好きじゃないなと思っているキャラでも、ストーリーを見ていくうちにそれが“好き”に変わっていくように頑張ろうと思っていますので、見守っていてほしいです。

蟹江氏:スマホゲームの話を頂いたときから、いろいろな意味で“消費されるだけのキャラ”にはしたくないと考えていました。だからこそ、飯塚さんにデザインしていただき、西村さんにシナリオをお願いして、結果ちゃんと愛されるキャラになってくれたと感じています。実際、SNSやいただいているお便りを見ていると、本当に深く愛してもらっているんだなというのがわかるので、とても嬉しいです。現時点でメインストーリーが出ていないキャラも、バックボーンや内面のドロドロした部分も全部含めて“好き”と言ってもらえるようにしていきたいと思っています。最終的により多くのユーザーさんに器楽部の31人+1匹全員を愛してもらえるようになってほしいと願っています。

――ありがとうございました!ところで、ここ最近、ホニャかわいいなと思うようになってきたのですが…。

西村氏:結構狙ってやってます(笑)。ホニャも『ららマジ』には欠かせないキャラだと思うので、きっと最後には愛してもらえるようになると思います。

蟹江氏:その間に、いろいろあるかも知れませんね。

西村氏:まぁ、いろいろあるんでしょうね(笑)。


実に2時間にも及んだインタビュー。お話を聞いていると、A-1担当者さん、西村さんどちらからも『ららマジ』という作品、そしてキャラたちへの深い愛情を感じることができ、いちチューナーとして、「この作品を好きになってよかった」と思うことができました。多少のモヤモヤ(主にホニャの部分)は残りますが、チューナーたちにとっては興味深いインタビューになったのではないでしょうか。シーズン3以降の『ららマジ』にも期待が高まります。

最終更新:8/17(金) 1:22
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