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<北東北ナノ・メディカルクラスター研究会>設立15周年 医療ニーズ捉え成果、点滴センサーなど開発

8/13(月) 11:00配信

河北新報

 北東北3県の医師や製造業者、大学教授らが医工連携の推進を目指す「北東北ナノ・メディカルクラスター研究会」が、設立15周年を迎えた。医学の知見と工学分野の技術力を引き合わせ、医療現場が抱える課題克服につなげている。高齢化で高まる医療ニーズを新たな事業展開の機会とも捉え、北東北発の産学間連携の深化に力を注ぐ。

【写真】最前線で活躍する医師の講演に聞き入る参加者

 研究会は2003年、医工連携を軸に地域経済を活性化しようと、秋田県産業技術センターを中心に設立した。約50団体が加盟。年3回合宿を開き、最新の医療動向や各現場が抱える課題などを幅広く議論する。

 仙北市で3、4日にあった夏合宿には3県の医師や大学教授、製造業者ら約40人が参加。講演した秋田大地域がん医療学講座の本山悟教授は「技術の進歩が医療を支えてきた。今後は多職種連携がより重要になる」と強調した。

 研究会での異業種交流を機に、製品の共同開発といった成果も生まれている。

 秋田大医学部と情報関連機器製造の秋田エプソン(湯沢市)などは14年、手術中に腫瘍の良・悪性や転移の有無を迅速に診断できる装置を開発した。

 少量の液体に電圧をかけて成分を均一にする県産業技術センター独自の技術を生かし、1時間以上かかっていた確認作業を20分ほどに短縮した。

 同センターの赤上陽一所長は「高い技術力を活用すれば、医療現場の悩みの種は新事業への芽生えに変えることができる」と語る。

 「医療と技術屋は想像以上に相性がいい」と力説するのは、電子機器製造のアクトラス(横手市)の真田慎社長。医療施設が衛生面から看護師の腕時計着用を禁止したことをきっかけに、点滴の流量を自動測定するセンサーを開発した。

 看護師が腕時計で直接測る手間を省き、勤務経験差によるミスも減らした。真田社長は「医療という全く異なる分野で技術力の可能性を広げられた」と言う。

 医療機器の分野は成長産業と見込まれる。研究会はがんの治療体制拡充に向け遠隔診療を組み込んだ解決策などを模索していく。

 会長を務める秋田大医学部付属病院病理部の南條博教授は「異業種間のネットワークを広げ、高齢化の先進地から最新の医療機器をつくり出していきたい」と意気込む。

最終更新:8/13(月) 11:00
河北新報