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なぜ貼るタイプなのか? H.I.S.モバイルと日本通信に聞く「変なSIM」の狙い

8/10(金) 9:29配信

ITmedia Mobile

 旅行者をターゲットに、国際ローミングより割安な通信手段を提供する――。そんな目的で設立された一風変わったMVNOが、H.I.S.モバイルだ。同社は旅行業界大手のH.I.S.と、老舗MVNOの日本通信が合弁で設立。H.I.S.の店舗網などを生かしつつ、バックグラウンドの技術を日本通信が提供する

「変なSIM」の使い方

 このH.I.Sモバイルが7月に発売したのが、「変なSIM」である。変なSIMにはeSIMが採用されており、渡航先に合わせて設定を書き換えることが可能。一般的な形状のSIMカードに加え、ICチップ部分を既存のSIMカードに貼り付けるタイプのSIMカードも用意されている。料金は1日、200MBまで一律で500円。SIMロックを解除した端末や、SIMロックフリー端末で利用できる。

 一方で、国際ローミングも徐々に安価になっており、ドコモやauでは、24時間980円が主流になりつつある。変なSIMの500円とは価格差もあるが、SIMカードを差し替える必要なく、普段と同じ電話番号をそのまま使える手軽さは、国際ローミングの方が上といった印象もある。変なSIMの勝算はどこにあるのか。H.I.S.モバイルの猪腰英知社長と、日本通信の福田尚久社長に話を聞いた。

なぜ「変なSIM」なのか?

―― まずは変なSIMという名称についてですが、なぜこのような名前になったのでしょうか。

猪腰氏 H.I.S.のグループ内にはハウステンボスの「変なホテル」や、「変な商社」「変なカフェ」など、「変な」ブランドで展開している会社や店舗が存在します。「変な」というと「変わっている」と捉えられがちですが、どちらかというと「進化する」「変化する」という意味合いが強い。そこの部分を通信業界、特に海外での通信にフォーカスしたものが変なSIMになります。

 会社を設立したときから、サブSIMという貼るタイプのSIMカードも視野に入っていました。いろいろな進化もさせていきたいという思いや、ブランディングに合っているという思いがあり、変なSIMと名付けてさせていただきました。

―― もともと、なぜH.I.S.モバイルを立ち上げたのか、経緯を改めて教えてください。

猪腰氏 もともとは日本通信さんからお話をちょうだいしていました。海外の通信をある程度安く提供できるサービスがあり、それをH.I.S.のブランドで届けていくことができれば、お客さまの通信費が高いという悩みを改善できます。若年層の海外旅行離れはよく言われていますが、若者の消費性向を見ると、年々通信費が上っています。携帯電話にお金を使うけど、旅行や車や遊びにお金を使わない。

 H.I.S.はMVNOなど通信業界に関しては素人でしたが、そういったものが普及することで、携帯電話に毎月1万円、2万円払う状況が変えられるのであれば、H.I.S.にとってもいいことです。この辺も相まって、H.I.S.モバイルを設立することになりました。

福田氏 話は何年か前にさかのぼります。MVNOは基本的に、今ない市場、新たな市場を開拓していくのが本来の役割です。月額980円のSIMカードを出したときも、他にはなかった。そういう意味では、新たな市場を開いたことになります。ただ、その後を見ると、みながそこ(格安SIM)にフォーカスしてしまいました。

 もう1つ注力していたのが訪日外国人で、これは総務省に電波法も改正していただけました。ロビー活動も相当していたのですが、あれも新たな市場としてずっと拡大しています。

 一方で、今度は日本から出ていく人もいます。一般的に、ある程度まで市場規模が広がると、セグメント化していくものですが、そのセグメントに向けて最適なサービスは何かと考えるときに、日本通信だけで考えても限界があります。その点で、旅行者をしっかりつかんでいるH.I.S.さんは私どもから見ても魅力的でしたし、事業機会があるのではないかと考えました。

 長い間、他社ともお話はしてきましたが、感性の違いもあって、やってみようというところとそうでないところがありました。誰でもそうですが、やってみたことがない分野に入っていくのは大変です。その中で、一緒にやっていこうということになったのがH.I.S.さんです。

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最終更新:8/10(金) 9:29
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