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ライフラインを止めるな! 猛暑の今年も電気を止められた女性が死亡

8/10(金) 15:01配信

BuzzFeed Japan

7月末、札幌市で生活保護を受けていた60代の女性が部屋の中で死亡しているのが発見された。死因は熱中症。部屋にはクーラーと扇風機があったのに、電気代が払えずに電気を止められていた。

このニュースを聞いて、憤りを覚えたのは東京大学大学院医学系研究科で公衆衛生学を研究する保健社会行動学分野教授、橋本英樹さんだ。

「電気を切れば死ぬことがわかっているような気象状況でなぜ止めるのか。失わなくてもいい命を日本では繰り返し失い続けている。政府や行政は対策をたてるべきです」

橋本さんに話を伺った。
【BuzzFeed Japan Medical / 岩永直子】

2012年冬にも札幌やさいたま市で電気ガスを切られた人が凍死

橋本さんがこの問題に関心を抱くようになったのは、厳しい寒さに襲われた2012年の冬、札幌市のマンションの一室で、40代の姉妹が死亡しているのが見つかったことがきっかけだ。

知的障害がある妹と姉の二人暮らしで、妹の月7万円の障害年金で生計を立てていた。料金滞納のために前年末からガスが止められ、姉は脳出血で死亡、妹は凍死して見つかった。

「こんなことがあっていいのかと思いました。翌月にはさいたま市で暮らしていた60代の夫婦と30代の息子がマイナス5度の寒さの中、電気やガスを切られて薄い布団の上で餓死、凍死しているのが見つかったのです。本格的に調べることにしました」

さいたま市に連絡をとったところ、同市は孤立死を予防するために、生活に異変がありそうな家について、電力会社やガス会社、水道事業者などから情報提供を求める事業を始めていた。

「生活のためには誰もがライフラインを使うわけだから、それが止まっていたら危険だと察知できるというわけです。しかし、料金を滞納したらそのライフラインを事業者の方が止めてしまうし、みんなそれをなんとなく当たり前だと思っている。切れば死ぬことがわかっているのにおかしくないかと思いました」

ライフラインの公益性をどう考える? 米国では止めるのに厳しい規制

橋本さんは翌年3月、「孤立と社会的排除にどう立ち向かうか」と題するシンポジウムを行い、この凍死事件を議論した。

事前に海外の例を調べると、米国では50州のうち37州で、料金を滞納していても、気象条件や本人の病気などの条件を考え、電気やガスなどのライフラインを止めるのに規制をかける法律があった。

中でも、驚いたのはウィスコンシン州の対応の徹底ぶりだった。「日本でも同じ問題がある」と問い合わせると、これまでの対応を文書にまとめて送ってくれた。

1974年2月、72歳の男性がガスを止められたのが原因で寒さのために死亡したことに、抗議の声が殺到したが全ての始まりだった。州の公益事業委員会は、寒冷期に電気・ガスなどの公益企業が供給を止めることを制限する緊急事態規則を発令する。

毎年、この規則を発令し、1979年4月には恒久的な規則に改正した。

ところがその後、1986年11月、ガスの供給を停止された二人の市民が、暖を取ろうとトレーラーハウスの中で室内に石炭グリルを持ち込み、一酸化炭素中毒で死亡しているのが発見された。ガス会社が規則に違反して、供給を止めていたことがわかった。

さらに翌年10月には、小型ヒーターの上にかかった毛布による火災で、1歳から17歳までの子供6人が焼死しているのが発見された。親がガス料金を支払っていなかったため、ガス会社が規則に基づく手続きを経た上で供給を停止していた。

これを受けて、州の委員会はさらに規則を強化し、寒い時期の供給停止を厳しく制限した。

橋本さんはこう話す。

「保健や医療だけでなく、親の収入や、それに基づく教育、就労の機会で自身の収入は左右され、そうした社会的な決定要因がその人の健康を決めます。社会的な排除によって、ライフラインが止められ死亡する健康格差を、行政は放置すべきではないのです」

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最終更新:8/10(金) 15:01
BuzzFeed Japan

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