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36歳で逝ったプロゴルファーの娘に教育資金を! タイガー・ウッズにジャスティン・トーマス……“同僚”たちが続々支援

8/10(金) 16:35配信

みんなのゴルフダイジェスト

10代のころから白血病と闘い続けたオーストラリアのプロゴルファー、ジャロッド・ライルが、2018年8月8日に還らぬ人となった。享年36歳。あまりにも早すぎる死に世界中が泣いた。そして、その死後、残された家族に対する支援の輪が広がっている。

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ライルが骨髄性白血病の診断を受けたのは17歳、1999年のことだった。「フットボールをしていて右肩にタックルを受けたとき、当たられた箇所からどんどん内出血が広がり腕から胸全体が真っ青になってしまった。これはおかしいと診察を受けたら白血病だった」。生前ライルはそう語っていた。

9カ月の入院生活を余儀なくされ、抗がん剤による化学療法と骨髄移植に耐えて寛解。プロゴルファーになるという幼いころからの夢を叶えた不屈の闘志の持ち主は、同世代のアダム・スコット(2歳上)やマーク・リーシュマン(2歳下)らとともに切磋琢磨。オーストラリアを飛び出し米ツアーの下部組織ウェブドットコムツアーで2勝を挙げ、レギュラーツアーでも4シーズン121試合に出場した。

普通白血病は寛解してから10年たてば再発の危険は遠ざかるといわれている。ところが3年半の付き合いを経て結婚したブリオニーさんとの間に長女が生まれるという直前の2012年病魔が再びライルを襲う。

長女の誕生に立ち会うまで治療を延期し、その手に小さな生命を抱いたライルは「この子のためにも絶対に負けない」と再度苛酷な治療に挑むのだ。

医学の進歩で白血病は不治の病ではなくなった。だがその治療は想像を絶するほど辛い。骨髄移植を受ける前には致死量に達する抗がん剤を投与され放射線を照射される。移植後は薬の副作用との闘いとドナーの細胞が自分の細胞を敵とみなして攻撃するGVHD(移植片対宿主病)との闘いが待っている。

幸いライルは2度目の発症から生還。試合にも復帰し多くのガン患者に勇気を与えた。

先のWGCブリヂストン招待で選手やキャディが帽子に黄色いリボンをつけ戦っていたのをご存知の方も多いはず。それはライルの復帰を願う思いを込めた行動だった。

じつはライル、昨年白血病を再発していた。3度目の不運にも全身全霊の闘いを挑む姿は全世界の人々の心を打ち同郷のカリスマ、グレッグ・ノーマンやスコット、ジェイソン・デイ、マーク・リーシュマン、アーニー・エルスらが励ましのメッセージを贈っていた。なかにはハリウッドスター、ドウェイン・ジョンソンからのメッセージも。

それを受け本人は「自分は世界で一番ラッキーなプロゴルファー」と病室で撮影した動画を公開し謝意を表した。しかし病魔は深く静かに進行。ブリヂストン招待開幕直前にブリオニーさんがSNSで「夫は辛い治療に耐え精一杯闘い続けてきました。が、すでに彼の体はボロボロで治療に耐えられる状態ではなくなってしまいました。これから病室を出て家族のもとで緩和ケアを行うことになりました」と辛い胸中を明かしていた。

それからわずか1週間後の8日午後8時20分。親族と親しい友人に看取られライルは静かに息をひきとった。

「ジャロッドがもうこの世にいないという報告をするのは胸が張り裂ける思いです。私と2人の娘、ルーシーとジェンマは最高の主人であり父親だった人なしでこれから人生に立ち向かっていかなければなりません。皆さんからの温かいメッセージと身に余る応援に感謝します」

「彼は生前私にこんなメッセージを託しました。『皆さんのサポートに心から感謝します。私が生きた時間は短かったけれど、ガンに苦しむ本人とご家族のために少しでも勇気を与え役に立つことができたとしたら(私の人生は)無駄ではなかったと思います』」

誰からも愛された“いい人”ライル。葬儀は家族で行い9月27日にお別れの会を予定している。 親友のロバート・アレンビーは心境をこう綴った。

「彼の決意と勇気、そして心の強さは私が出会った誰にも負けないものでした。広い心で皆を包み常に感謝を忘れず誰にでもやさしかった。多くの人にインスピレーションを与え、愛され、尊敬されてきた。兄弟のように過ごす時間を持つことができたのは私にとって最高の幸せです」

ライルの死後、6歳と2歳の娘さんたのために教育資金を募るクラウドファンディングサイトが立ち上げられた。ジャスティン・トーマスやジョン・ラームらがツイッターなどで呼びかけすでに15万ドル以上(約1660万円)の寄付が集まっているという。

普段はお騒がせのイメージがあるブライソン・デシャンボーも開催中の全米プロゴルフ選手権で行われたドライビングコンテストに優勝し獲得した2万5千ドルの賞金をすべてライル家に寄付することを表明。タイガー・ウッズ財団もすでに1万ドルを寄付している。

どんなことをしてもライルはもう還ってこない。悲しいニュースではあるが支援の輪が広がっていることがせめてもの救い。心からご冥福をお祈りします。

撮影/姉崎正

川野美佳

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