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企業業績、堅調持続=通商問題への懸念広がる-4~6月期〔深層探訪〕

8/11(土) 8:26配信

時事通信

 企業業績が堅調を持続している。上場企業の2018年4~6月期連結決算は、世界景気の拡大を背景に、電機や自動車など製造業で増収増益を確保する企業が続出。ただ、原燃料価格の上昇で収益が悪化した企業があるほか、米国発の通商問題への先行き懸念も広がっている。

 ◇純利益1割増
 時事通信社が7日までに決算を発表した東証1部上場898社(全体の69.1%、金融を除く)を対象に集計したところ、連結純利益は前年同期比10.6%増となった。

 「順当な滑り出しだ」。純利益が3年ぶりに過去最高を更新したソニーの十時裕樹最高財務責任者は7月末の決算会見で手応えを語った。主力のゲーム事業の好調が収益を押し上げ、純利益は前年同期比2.8倍に拡大。日立製作所も純利益が4割増と2年連続で最高益を記録した。西山光秋執行役専務は「大半の部門が増益。構造改革の成果も表れてきている」と話した。

 トヨタ自動車は、アジアや欧州の販売増に費用削減効果が加わり、純利益は7.2%増の6573億円と過去最高。白柳正義専務役員は「稼ぐ力、原価低減について少しずつ成果が見えている」と語った。

 IoT(モノのインターネット)や人工知能、自動運転など半導体需要の拡大も続く。製造装置大手の東京エレクトロンの純利益は35.1%増の557億円と最高益を達成した。河合利樹社長は「今年の製造装置の投資額は前年比10~15%の成長を見込んでいる」と強気だ。

 ◇人手不足も影
 一方、事業環境の変調に苦戦する企業も目立った。原油価格の上昇に伴う燃料費の高騰で、日本郵船など海運大手3社の純損益はそろって赤字に転落。日本航空、ANAホールディングスも減益を余儀なくされた。

 人手不足も収益に影を落とす。牛丼チェーン店「すき家」などを展開するゼンショーホールディングスは人件費が膨らみ、純利益は33.7%減と大幅に落ち込んだ。

 為替相場は、想定より円安で推移したが、多くの企業は19年3月期の業績見通しの上方修正を見送った。通商問題の行方への懸念が強いためだ。三井物産の内田貴和常務は米中貿易摩擦に関し、「景況感の悪化や消費減退による世界経済の減速には注意が必要」と指摘する。

 さらに各企業が固唾をのんで見守るのが、トランプ米政権が検討している輸入自動車・同部品への追加関税。トヨタは輸出車1台当たり約67万円のコスト増になるとの試算を示し、警戒感をあらわにした。産業の裾野が広いだけに、他業種も「影響が大きい」(新日鉄住金の宮本勝弘副社長)と身構えている。

最終更新:8/11(土) 8:30
時事通信