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トルコ通貨急落、年初から40%超…対米悪化響く 欧州は警戒強める

8/11(土) 22:53配信

産経新聞

 【カイロ=佐藤貴生、ワシントン=加納宏幸】トルコの通貨リラが10日、対米関係の悪化を背景にドルに対し約20%も急落して最安値を更新し、ユーロや新興国の通貨、株式市場にも影響が広がった。トランプ米大統領が同日、トルコの鉄鋼、アルミニウムに対する追加関税の税率引き上げを表明して追い打ちをかけた形で、トルコ経済はさらに苦境に陥る可能性もある。政治的対立が横たわる両国の関係は、経済を巻き込んで深刻化しそうだ。

 通貨リラは今年に入り40%以上も下落しており、10日は株式市場でも幅広い銘柄に売りが殺到した。エルドアン大統領は11日、前日に引き続き米ドルやユーロをリラに両替するよう国民に求め、「将来に向けた戦争」に加わるよう訴え、名指しを避けながらも米国に対抗する姿勢を示した。

 トルコ人のジャーナリスト(52)は産経新聞の電話取材に、「インフレ率は15%に達し、生活に対する不安は高まっている。経済情勢は今後いっそう深刻になるのではないか」と話した。

 米国は各国からの輸入に対し鉄鋼25%、アルミニウム10%の追加関税を課しているが、トランプ政権はトルコに関してはそれぞれ50%、20%に引き上げると発表。13日から適用する。トルコで2016年に起きたクーデター未遂事件に関与したとして、同国内で自宅に軟禁されている米国人、ブランソン牧師の釈放をめぐり圧力をかける狙いがあるとみられる。

 一方、エルドアン政権は、クーデター未遂事件で「黒幕」と断定した在米イスラム指導者、ギュレン師の身柄引き渡しを要求してきたが、米側は応じていない。また、米軍はシリア内戦で少数民族クルド人の民兵組織を支援しており、この組織を自国内の非合法クルド人武装組織の「分派」とみなすエルドアン政権は、「なぜテロリストを支援するのか」と米政府を非難してきた。

 両国はともに北大西洋条約機構(NATO)の加盟国。トルコは輸入原油の半分をイランに依存しており、米政権の対イラン制裁の再発動で打撃を受けるとの指摘もある。

 トルコ経済は失業率などが高止まりしている半面、内需は活発で自動車産業などもあり、実体として危機的状況というほどではなかった。ただ、金融引き締めに否定的なエルドアン氏が中央銀行の政策に関与する方針を示している上、6月の大統領選再選後には女婿のアルバイラク氏を財務相に起用。こうした姿勢が金融市場や格付け機関から負の反応を招いている。

 経済的な結びつきが強い欧州では、対トルコ融資残高が多い金融機関への懸念が高まり、円やドルに対してユーロが売られるなど警戒感が強まっている。

最終更新:8/11(土) 23:27
産経新聞