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「関西トップなら豆腐界のキングに」業界最大手・関東の豆腐メーカーがイマ関西に進出するワケ

8/11(土) 14:00配信

関西テレビ

冷奴に、湯豆腐。食卓に並ぶことも多い国民食・豆腐ですが、とりわけ関西人は、豆腐がお好きなようで…。

女性:
「豆腐は欠かせないです。毎日」

別の女性:
「なめらかさとか硬さ、あとは味。全然違う、豆腐によって。(ダメなものは)絶対買わへんし」

と、豆腐へのこだわりもなかなかのようです。

そんな厳しい舌を持つ消費者が多い関西で勝負を挑もうとしているのが、群馬県の豆腐メーカー「相模屋食料」。

アニメ『機動戦士ガンダム』のキャラクター「ザク豆腐」を始め、これまでのイメージを覆す斬新な商品を次々と開発。

全国的に豆腐の消費額が減少する中で、偉業ともいえる年間210億円以上を売り上げる業界最大手です。

売り上げ絶好調の関東の会社が、今“関西”に進出する理由とは…?

■目指すのは豆腐の世界の“キング”

取材班が向かったのは、相模屋食料が7月、兵庫県伊丹市に設立した子会社「匠屋」の製造工場。結構、年季の入った工場なのですが…。

相模屋食料・匠屋 鳥越淳司社長:
「もともとここで、関西トップの豆腐メーカーが製造していたんです」

実はここ、今年2月に廃業した関西の豆腐メーカー「但馬屋食品」が使っていた工場。

但馬屋食品から、廃業後の工場の利用を持ち掛けられた鳥越社長が、元いた従業員に声をかけ、「匠屋」として再スタートさせたのです。

これまでも、経営難に陥った豆腐メーカーなどから事業を引き継ぎ、建て直してきた相模屋食料。

しかし、京都出身の鳥越社長にとって、関西での新会社設立には、特別な意味がありました。

鳥越社長:
「お豆腐の文化自体が、大阪・京都・兵庫は、ぐっと高いレベルにあり、お客様は舌が肥えている方が多いので、そこに私たちもチャレンジしたい。大げさに言うと、関西で豆腐のトップを取れれば、世界中で『私たちの豆腐はキング』と言えるんじゃないか」

■関東と関西で豆腐には違いが…

勝負をかけるのは、オーソドックスな絹ごし豆腐と木綿豆腐ですが、実は関東と関西では、その製法や仕上がりに大きな違いがあり、業界最大手の社長がたじろぐ場面もしばしば…。

匠屋・柴田聖司工場長:
「大豆の芯が真ん中に残るぐらい。基本はこの辺を目指して水に漬ける感じですね」

鳥越社長:
「へー、おもしろい。こんなん関東だったら絶対もう少し漬けてってなる。これは『すまし粉(凝固剤)』でやるからこうなるの?」

柴田工場長:「だと思います」

工場長が手にした大豆の固さを見て、驚いた様子の鳥越社長。関東と関西の違いについて聞くと…?

鳥越社長:
「豆腐を作るときに、関東では凝固剤として『にがり』が主流なんですけど、京都を中心として近畿圏は、『すまし粉』というものを使って、つるっとした食感にするのがメイン。すまし粉の使い方はすごく難しいので、ここの職人が持つ技術を生かしていきたいです」

関東にはない、関西特有の豆腐づくりの技術。それを知らずに関西に進出し、失敗する関東の企業は少なくないと言います。

■社長が驚いた関西豆腐職人の『鼻』

さらに、廃業した但馬屋食品には、優秀な職人がそろっていたことも新会社設立の大きな決め手となりました。

柴田工場長:
「(沸き立つ蒸気の匂いを嗅いで)ちょっと蒸気多いわ」

大手では機械化が進む中、ここでは大豆を炊くときの微妙な温度の上げ方も、蒸気の香りや量を頼りに、職人が調節しています。

鳥越社長:
「匂いを嗅いでいるところを見たときは、びっくりしました。匂いで炊き方を感じられる人って、今ほとんどいないんじゃないですかね。(廃業した但馬屋食品は)すごい集団だったんだなと。そのノウハウを引き継いで、伝統の作り方を引き継いでやることの意義をすごく感じてます」

社長が信頼する柴田工場長も、もちろんその“すごい集団”から来た一人。

柴田工場長:
「もし、匠屋のやり方が合わなければ、お断りしようとも考えていたんですが、『但馬屋で培ってきたものを継承しつつ、さらにおいしいものを』と社長から言っていただけて、匠屋として再出発できることがうれしい限りです」

固まった豆腐をさらす水槽の水には、井戸水を使うことにしました。工事や保健所の申請で、予定よりも時間はかかりましたが、水は「豆腐の命」だといい、こだわりました。

鳥越社長:
「井戸水は普通の水よりも温度が低いので、キュッと締まらせる。特に絹豆腐は。手で持ち上げた時に弾力性があって割れないぐらいがいいんです」

試作品の豆腐をいただくと、しっかりとした豆の味がして、喉ごしもよく、まさに絶品!社長が目指す“関西の豆腐の味”となっているそうです。

■社長「安売りは禁止!」味で選ばれる

発売は8月20日から…。

価格が気になるところですが、実は大阪では豆腐の平均価格が、この10年余りで100グラム当たり36円から27円と、9円も下がっています(総務省調べ)。

豆腐の値崩れを背景に、製造業者の数も半数ほどに激減し、廃業に歯止めがかかりません。

縮小する業界の中で、匠屋が目指すのは「安いから選ばれる」のではなく、「おいしいから選ばれる」豆腐。

鳥越社長によると、市場には「松竹梅」の「梅」に当たる100円以下の安売りの豆腐と、200円以上の「松」に当たる高価な豆腐、そして中間にあたる130円から170円台の「竹」の豆腐があります。

但馬屋食品が廃業し、関西で空白となっていた「竹」のゾーンを匠屋は狙っているのです。

鳥越社長:
「『竹』のところで一番活躍してた但馬屋食品がなくなって、ここがぽっかり空いているというのがあるので、私から見ると、今手ごろな価格で買えるおいしい豆腐が近畿圏にないんですね。これはものすごいチャンスだと」

価値のあるこだわりの豆腐を目指して、試行錯誤が続く工場…。

柴田工場長:
「(豆腐を割って)あ、これなんかは比較的いいほう。割ると表面に気泡が入ってくるところが多いので、それをどれだけなくせるかですね」

鳥越社長:
「機械で作ると、わ~っとできるんですが、ここは一丁一丁手作りでやってますから、一丁一丁に向き合いながら毎日やる。それに彼らは慣れていますし、基本ですね。それがこだわりなんで」

『国産大豆100%のおとうふを昔ながらの製法で一丁一丁丹念にこしらえました』

職人のこだわりを伝えるそのコメントを載せたパッケージデザインは、鳥越社長が自ら手がけました。

匠屋の豆腐は、8月20日から兵庫県や京都府、大阪府を中心とした関西のスーパーで販売が始まります。


(関西テレビ8月7日放送『報道ランナー』内「なるほど!ちまたのケーザイ学」より)

最終更新:8/11(土) 14:00
関西テレビ