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いつまで続く 列島うんざり 暑 家畜もぐったり

8/11(土) 7:01配信

日本農業新聞

 連日の記録的猛暑で、農家だけでなく家畜も悲鳴を上げている。繁殖雌牛は発情せず、乳牛は乳量が減り、豚もぐったりしている。全畜種で食欲が減退して増体が鈍っている他、暑さで死んでしまう鶏や豚もいる。10日も、全国の600を超す地点で30度以上の真夏日を記録。厳しい暑さは今後1カ月続く見込みで、畜産農家の経営面でも“酷暑”は終わりが見えない状況だ。(猪塚麻紀子、尾原浩子、齋藤花)

和牛 食欲減退、発情せず

 新潟県阿賀町。高温と日照りで畜舎の牛は地面に寝そべり、じっとして動かない。黒毛和種の繁殖牛37頭、肥育牛26頭を飼養する渡辺昇平さん(69)は「この暑さはいつまで続くのか」と困惑する。

 牛は“熱中症”に近い状態で、動悸(どうき)が激しく、食欲が低下して餌を通常の7割程度しか食べない。例年なら真夏でも夜温が25度以下の山間地域に畜舎があるが、今年は夜も30度より下がらない日が続く。畜舎内の扇風機も熱風が届くだけ。暑さでばててしまい、交配時期を迎えた雌牛が発情しないのも大きな打撃だ。

 猛暑で牧草が枯れ、収量が激減したことも追い打ちをかける。今年は5月の低温で一番草の収量が3割減。二番草に期待したが、高温と水不足で例年の2割しか収穫できず、冬、飼料不足になる恐れが出てきた。

 猛暑となり、渡辺さんは夜中の畜舎の巡回を増やした。牛の呼吸や動悸が激しくないかなど、細かく観察する。渡辺さんは「具合の悪い牛の早期発見は対処であって、事態を好転させる対策にはならない。今年の猛暑は後の経営にまで響く」と不安を募らせる。

鶏は熱死、豚増体鈍る 懸命の対策も…

 家畜にとってこの猛暑は、まさに健康や命に関わる問題となっている。

 鶏は汗腺がなく暑さに弱いため、死亡するケースが相次ぐ。採卵鶏18万羽、育成鶏5万5000羽を飼養する愛知県の一宮市浮野養鶏では、鶏に冷水を供給し、鶏舎に暑い外気を入れないよう工夫を凝らす。しかし「この暑さは鶏にとって本当に厳しい」と代表の山田和宏さん(64)。鶏の熱死があった他、卵のサイズが小さくなっている。

 豚への影響も深刻だ。3500頭を飼育する埼玉県寄居町の寄居養豚センターでは、暑さのため増体が平年の2割程度という。豚に掛ける水も足りず、出産したばかりの母豚が死んだ。同センターの石田裕司さん(36)は「早い時期から暑く、長引いている。ほとんど餌を食べず、ぐったりしている」と言う。

 高松市で乳牛30頭を飼育する、しおのえふじかわ牧場では、乳房炎が増えている。牛舎担当の久川紗穂さん(25)は「牛は息遣いが荒く、歩く時間が短くなった」と話す。

 農水省によると、多くの畜種で食欲減退や発育不良が起きており、酪農では乳量減少の報告が上がっている。対策として(1)飼育密度を下げ送風して体感温度を低下(2)畜舎に日よけや断熱材を設置(3)消化の良い飼料や冷水を給与(4)観察頻度を増やし健康状態を把握──するよう呼び掛ける。

 気象庁は9月10日までの1カ月間、関東甲信から九州までの広い範囲で平年に比べて暑くなると見通す。

最終更新:8/11(土) 7:01
日本農業新聞

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