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台風の東京湾高潮、川崎で水深最大5メートル 被害想定

8/11(土) 8:45配信

カナロコ by 神奈川新聞

 大型台風が直撃し東京湾沿岸部が過去最大級の高潮に見舞われた場合、川崎市を中心に約70平方キロが浸水する恐れがあることが10日、神奈川県の外部検討会がまとめた高潮被害想定で明らかになった。河川の氾濫なども起こると水深は最大5メートルに達し、浸水被害は3日程度続くとみられる。県は危険区域の指定に、各市はハザードマップの作成に反映させ、避難対策の強化につなげる。相模湾の検討は年内にも着手する。

 検討会は、中心気圧910ヘクトパスカルの室戸台風(1934年)級で、半径約75キロの暴風域を伴い時速73キロで進む伊勢湾台風(59年)に匹敵する「1千~5千年に1度の超大型台風」が東京湾周辺を通過すると想定。高い潮位や河川の堤防決壊による洪水といった「最悪の事態」も踏まえ、川崎市の浮島から三浦市の剣崎にかけて浸水シミュレーションを実施した。

 その結果、浸水面積は芦ノ湖(箱根町)の約10倍に相当する約70平方キロに及び、中でも湾の奥に位置し多摩川と鶴見川に挟まれたエリアで深刻な被害が想定される。川崎市川崎区はほぼ全域が浸水し、JR川崎駅東側の広範囲で水深4メートルに達する。一部では最大5メートルとなり、同市幸区の東側と横浜市鶴見区の一部でも3メートルほど浸水。JR横浜駅周辺も水深3メートルの被害が見込まれる。避難が困難となり孤立する可能性が高い水深50センチ以上の被害は、3日程度続くとみられる。

 県は、都道府県に高潮浸水想定区域図の作成・公表を求めた2015年の水防法改正を受け、外部有識者らでつくる「東京湾沿岸高潮浸水想定検討会」(会長・柴山知也早稲田大理工学術院教授)による検討を重ねてきた。今後は高潮の危険がある区域を指定し、災害リスクの周知を図る。浸水想定図は県ホームページで公開している。

 東京都が3月に公表した想定では、23区総面積の3分の1に相当する最大212平方キロが浸水し、最大水深は10メートルに達すると示されていた。


◆相模湾、護岸整備は6割

 家屋や車を押し流しアスファルトを砕くなど、深刻な被害をもたらす高波。防潮堤を乗り越えた波の威力は、ここ数年で神奈川の沿岸部に押し寄せた「経験したことのない大波」(黒岩祐治知事)でも実証されている。台風の巨大化や地球温暖化に伴う水位の上昇が指摘されている今、東京湾のほか相模湾でもリスクへの備えは待ったなしだ。

 先月28日夜に県西部を襲った台風12号。相模湾などで観測された高波は8メートルを超え、最大波は10メートル以上だった可能性もある。海面が上昇する高潮の影響も重なり、小田原市や湯河原町で車15台が巻き込まれたり、海の家12棟が全壊したりする被害が生じた。

 昨年10月の台風21号では6年ぶりに高潮警報が発表され、江の島(藤沢市)のほか東京湾の久里浜港付近(横須賀市)や横浜港の大黒ふ頭などで浸水被害をもたらした。1996年の台風でも馬堀海岸(同市)で約70ヘクタールが浸水し、400台近くの車に被害が生じた。

 県によると、相模湾で保全が必要な区域のうち、護岸整備などを施しているのは約6割。港湾は50年に1度、それ以外の砂浜などは30年に1度の高波に対応できる形で対策を講じている。一方、事業所や岸壁が多い東京湾は船舶利用などの観点から防潮堤整備が困難とされ、内陸部に防潮柵を設けるなどして被害軽減を図っているという。

 ハード面の整備は一定程度進んでいるが、対策が未着手の区域はまだ残っているのが実情だ。近年の異常気象は予測不能な被害をもたらす。台風の勢力やコース、潮位といったさまざまな条件を踏まえたリスクを見極め、避難対応の見直しを図るなどソフト面の対策も求められている。

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