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大学の恩師がプッシュ、近大卒の劇団・匿名劇壇

8/11(土) 7:00配信

Lmaga.jp

【連載】舞台上等、どうぞご贔屓に vol.5

関西を拠点に活動する劇団・役者・カンパニー・団体・演出家・脚本家は数知れず。舞台・演劇関係者が自分たちのご贔屓をプレゼンテーションする本企画。今回は、京都の劇団・MONOで俳優を、また主宰するユニット・壁ノ花団では作・演出も務める水沼健が、自身の教え子だった福谷圭祐率いる劇団「匿名劇壇」の魅力を大分析する。

【写真】水沼の作品にも出演する福谷ら劇団員

学生時代から目を引いた、100点を超えるような逸材

劇団公式サイトによると彼らは、2011年5月「近畿大学 文芸学部」で舞台芸術を専攻する学生らで結成し、学内で旗揚げ公演を上演、とある。そのあと加わった劇団員も全員同専攻学生だ。ちなみに私は近畿大学文芸学部准教授を務め、教員という立場でこの公演を見ているが、結成当時から彼らの作品はすでに洗練されており、同時に先を見すえた創作態度を持っていた。

それにみんな成績もよく、勉強熱心だった(言いすぎた、みんなではない)。大学に勤めだしたころ、同僚の教授に成績のつけ方を教えてもらったことがあったのだが、「でもこの方法だと福谷なんかは100点超えちゃうんだよな」などと、その教授がおっしゃっていたのをいまでも覚えている。

劇団そのものが『作品』、複雑なのにわかりやすい世界

彼らの特徴といえばいくつもの時間や場所が同時に進行し、物語の外側にさらに物語を用意するといった劇構造がまずあげられる。たとえば冒頭で語られた物語は、実はある作家が書いた劇中劇ということがわかり、そこから作家自身の物語も並行して語られる・・・という具合だ。その複雑な構造や情報量をスピーディーに展開させながらも不思議とわかりやすく、若者らしい荒さがない。

またもうひとつの特徴は、結成以来の公演をすべて劇団員だけでおこなっていること。劇団のありかたがぼんやりして客演が当たり前になっているいまの演劇界において、これはかなり戦略的な決断だ。彼らは公演そのものよりも、まずこの「匿名劇壇」というものをフィクションとして作り上げようとしている。この集団として持っているストイックな態度こそが、同世代の劇団にはない幻想を抱かせる大きな魅力となっているのである。

そんな水沼が今後も期待する福谷の新作『笑う茶化師と事情女子』は、8月24~27日に「インディペンデントシアター1st」(大阪市浪速区)で上演。チケットは一般前売3500円、当日3800円で、現在発売中。

構成/吉永美和子

最終更新:8/11(土) 7:00
Lmaga.jp