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コラム凡語:「プラハの春」50年

8/12(日) 16:00配信

京都新聞

 誰もが自由に集い、意見を語り、政治を批判する-。50年前の1968年に共産圏の旧チェコスロバキアで花開いた民主化運動「プラハの春」。旧ソ連軍を中心とする戦車が占領、弾圧したのは8月20日深夜だった▼改革を進めたドプチェク共産党第一書記らが拉致され、モスクワで検閲の復活や改革派更迭などを約束させられた▼帰国しラジオで語ったドプチェク氏の言葉に全国民が耳を傾けた。話そうとしても話せない「長いすさまじい間(ま)」、そこに「国にふりかかったありとあらゆる恐怖があった」とチェコ出身の作家ミラン・クンデラ氏は小説「存在の耐えられない軽さ」で記した▼有識者や学生ら広範な市民が戦車に立ちはだかった。かつてナチスドイツに占領され左右の圧政に耐えた国。「人間の顔をした社会主義」という標語は体制転換ではなく自由で平等な社会への強い願いを示していた▼共産党政権は21年後に崩壊し、チェコとスロバキアは平和裏に分離独立した。政権転覆や独立を果たしても新たな独裁や内戦に陥る国は少なくないが、両国とも民主的な体制を維持している▼日本では、特定メディアへの政治家の「圧力」や、批判的言論を「偏向」と決めつける動きが後を絶たない。この国が今後も自由であり続けるのか、予断を許さない。
[京都新聞 2018年08月12日掲載]

最終更新:8/12(日) 16:00
京都新聞