ここから本文です

<米軍>日本軍の偽装見破り東北の軍事施設を空襲

8/12(日) 16:35配信

毎日新聞

 1945年8月9、10日に東北各地の軍事施設などが狙われた空襲で、攻撃を担った米海軍第38任務部隊が、上空からの発見を免れようと日本軍が飛行場を田や住宅地のように偽装したり、戦闘機を林の中に隠したりしていた工作を見破り、空爆したとする報告書が見つかった。この空襲は、米軍が同年11月に予定していた九州上陸作戦を前に日本の航空戦力破壊を狙った戦略の一環とみられる。【山田研】

 空襲の実態を調べる「空襲・戦災を記録する会全国連絡会議」事務局長の工藤洋三さん=山口県=が米公文書館から入手した米海軍の報告書の写しを分析して明らかにした。

 山形県真室川町の真室川飛行場では、第38任務部隊が8月10日朝の空爆で、隠された日本軍の4戦闘機を機銃掃射。飛行場近くに隠された60機以上も見つけ、20機以上を破壊した。さらに撮影したフィルムを軽空母に持ち帰り、現像、解析したところ、周辺の林にも飛行機が隠されていることが判明。同日午後に別の空母の艦載機も加わった大規模な空襲が展開された。

 報告書には、迷彩色の機体を樹木の間に置いたり、上に木をかぶせるなどして「(上空から見た)景色と一体化させていた」とあり、戦果に関して「金鉱だった」との記述や、分散秘匿場所を矢印で示した写真もある。

 9日に空襲した同県東根町の神町飛行場を翌10日に空撮した2枚の写真には、いずれも「9機の双発機を破壊」した場所を示す書き込みがある。滑走路から北西部と南西部にそれぞれ延びる飛行機の誘導路に囲まれた林の中で戦闘機を見つけ、1隻の艦載機だけで20機体を破壊、11機体に損害を与えた。報告書には「分散秘匿された場所で数機が炎上するのは珍しくないが、数多くが一度に炎上したのを見たのは初めて」との証言があり、日本軍が多数の戦闘機を隠していたことが分かる。

 奥州市の小山飛行場には10日の攻撃時に日本軍機はなかったが、米兵を驚かせる偽装工作があった。報告書には「滑走路に芝を植え込んで、あぜ道のように工夫し、稲に見立てた雑草なども植えられていた」「(下側に)車をつけた農家3棟を500メートル間隔で滑走路上に起き、飛行機発着時には運び出す」「樹木もそれぞれ鉢に入れて車をつけ、滑走路を林のように見せる仕掛けになっていた」とあり、偽装例の写真も紹介されている。

 第38任務部隊の上部組織の海軍第3艦隊の報告書には「日本軍が東北に飛行機を集結させている」との陸軍情報が記載されており、工藤さんは、一連の東北空襲を「45年11月に予定していた九州上陸作戦の前に1機でも多くの日本軍機破壊を目指した」と分析する。

 工藤さんは先月、45年2月以降の米英軍の攻撃を体系的に分析した「アメリカ海軍艦載機の日本空襲」を自費出版している。

最終更新:8/12(日) 16:35
毎日新聞