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「切れてくれ」満塁弾見上げた星稜 強打刻み壮絶に去る

8/12(日) 19:27配信

朝日新聞デジタル

(12日、高校野球 済美13―11星稜)

 両手の人さし指をほおに当て、星稜の主将竹谷は打席の仲間に何度も叫んだ。

【写真】星稜―済美 一回表星稜1死一、二塁、二塁走者河井は南保の右前適時打で生還し、次打者竹谷(9)にむかえられる=水野義則撮影

 「笑えー!」。

 6点差を逆転され、2点を追う立場になった九回だ。「初回だって5点取れた。絶対にいけると思った。粘り強さが自分たちの持ち味だから」

 1死から1年生の内山が右前安打で出ると、続く南保は「全打席、ストレートを狙ってフルスイングしてきた」。その信念は土壇場でも変わらない。初球を右前へ思い切り引っ張り、竹谷につなぐと、主将も「気持ちで打った」。初球を中前へ打ち、まず1点。さらに2死一、二塁で鯰田も初球を左前適時打とし、延長戦へ持ち込んだ。

 「強打」をひっさげ、甲子園に乗り込んできた。石川大会の決勝は大会新記録の7本塁打。南保の大会5本塁打も、OBの松井秀喜さんを上回る新記録。100回大会の優勝旗を奪う力は間違いなく、あった。

 この日も途中までは理想の展開。だが、エース奥川の足がつって四回に降板。継投で最後を締める予定だった竹谷も足がつり、八回の猛反撃を食らった。

 自らの頭上。右翼線を飛ぶ最後の満塁弾を「ずっと、『切れてくれ』って思いながら見ていました」と竹谷。「すっきりしているというより、悔しさが強いですね」と目を真っ赤にしながら笑みを作った。

 松井さんが始球式を務めた開幕戦と合わせ、2試合で計20点。「星稜の大会」になる予感を漂わせながらも、劇的に負けた。(山口史朗)

朝日新聞社