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菅官房長官「派閥つくる気ない」 河野氏と進次郎氏に期待

8/12(日) 12:38配信

カナロコ by 神奈川新聞

 歴代最長の官房長官として安倍晋三首相を支える菅義偉氏(衆院2区)が、11日までに神奈川新聞社のインタビューに応じ、5年8カ月にわたる安倍政権の実績と今後の展望を語った。

 安倍政権は何をやるかを明確に打ち出し、その方向に向かい改革意欲を持って政治主導でこの国を前に進めていく政権だ。

 経済と外交・安全保障の再生を進めてきた中で印象的なのは、インバウンド(訪日外国人客)誘致だ。総理就任後最初の施政方針演説で「世界の人々を引きつける観光立国を目指す」と宣言し、関係閣僚を私が取りまとめて進めてきた。

 ビザ発給要件を戦略的に緩和し、当時836万人だった外国人観光客が昨年は2869万人になった。少なくとも韓国などと同じように緩和すべきだという私の考え方で進めたところ、一挙に増えた。当時約1兆800億円だった外国人の観光消費額も昨年は4兆円を超えるまでになった。

 今年上半期の外国人観光客数は16%近く伸びており、3300万人を超えるペースだ。2020年に4千万人とする目標は完全に射程に入った。

 赤坂と京都の迎賓館の一般公開を始め、日本の名所の一つになった。総務大臣の時に初めて迎賓館に足を踏み入れ、こんなに素晴らしいものが日本にあるのかと驚いた。両親や国民に見せたいと思ったが力不足でできず、官房長官になって実現させた。

 皇居も日本の歴史と伝統、文化の象徴だ。昨年は東御苑を約150万人が訪れ、43%が外国人だった。皇居の三の丸尚蔵館に収蔵されている絵画や書、工芸品は、皇室から寄贈された国民の財産として公開しようと手続きを進めている。

 観光政策を進めたことで地方が元気になっている。26年間下落傾向だった地価が底を打ち、上向きになったことは非常に大きい。

 農業改革にも意欲的に取り組んできた。減反制度は約40年ぶりに廃止し、60年ぶりの農協改革で地方の農業が特色や魅力を生かして事業を展開している。林業は「森林バンク」を創設できる森林経営管理法の成立で、能力や意欲のある林業経営者に管理を任せる仕組みを70年ぶりに作った。漁業でも養殖の漁業権制度などを見直して成長産業を目指す法案を出したい。

 これまで手を付けられなかった岩盤規制に政治主導で対応し、かつてないほど将来が楽しみな状況になってきている。

 働き方改革も70年ぶりの大改正だ。長時間労働の是正と非正規労働者の処遇改善で、介護、子育てといった事情を抱える人が働きやすい環境をつくることができた。罰則付きの時間外労働の上限規制は、まさに違法残業を根絶する切り札だ。日本人は現状を変えることに保守的な民族だが、法の施行によって実感として分かってもらいたい。将来、あの法律を作ったことで社会が変わったと。

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 9月の自民党総裁選で、安倍総理は改正された規約に基づいて粛々と対応していくだろう。

 政権交代前の日本の経済は最悪の状態だった。円高・デフレの長引く不景気で、企業が日本で経済活動できる状態ではなかった。日米関係も最悪で、足元を見透かすように韓国やロシアの大統領がそれぞれ竹島と北方領土に初めて足を踏み入れた。沖縄・尖閣諸島では中国漁船による海上保安庁巡視船への衝突事件もあり、ひどい状態だった。

 そこから日米関係を再構築し、かつてないほどの信頼関係を築いてきた。中国との関係も日中平和友好条約締結から40年の節目にふさわしい方向で回復途上にある。国際社会における日本の地位がようやく回復してきた。北朝鮮の問題も米朝首脳会談で両首脳が非核化について署名した。

 経済も、もはやデフレではないという状況をつくり出せた。来年は消費税を10%に引き上げ、その財源で全世代型の社会保障を実現させる。こうした状況をつくり出してきた原動力は安倍総理だ。あとは自民党がどう判断するかだ。

 (自身に近い無派閥議員の集まりが「菅グループ」ともいわれるが)派閥をつくる気はない。無派閥で当選4回以下の衆院議員に、政治家として歩んできたことをアドバイスしている。派閥に所属しなければ役職に就けないといったことをなくしていこうと。党全体を見て必要な人は応援していくということだ。

 次のリーダーは、とりわけ河野太郎外相(衆院15区)と小泉進次郎党筆頭副幹事長(同11区)には期待している。当選同期の河野氏は非常に胆力があり、当初から「総理大臣になりたい」と言っていた。今、外務大臣として水を得た魚のように活躍している。小泉氏は若くして注目され、党の農林部会長としてもしっかり役目を果たした。国会改革などを掲げてたたかれることがあるかもしれないが、そういった経験を重ねながら成長してほしい。